大浦湾のサンゴ移植「成功してない」自然保護協会、沖縄防衛局に反論 移植方法の妥当性検討など要望書を提出


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移植され、大部分が死滅しているキクメイシ科のサンゴ=5月、名護市辺野古沖(日本自然保護協会提供)

 日本自然保護協会(亀山章理事長)は8日、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設計画で、沖縄防衛局が大浦湾側の小型サンゴ類など約8万4千群体に対する特別採捕(移植)許可を県に再申請したことに対して要望書を提出した。同会は、沖縄防衛局が既に移植を終えたサンゴの生育状況を「順調」と評価していることに対して、潜水調査を踏まえて「成功しているとは到底考えられない」と反論した。

 これまでに移植したサンゴの全写真公表や移植方法の妥当性の検討などを要望した。要望書は同日、県と沖縄防衛局それぞれにメールで提出した。

 同会は、沖縄防衛局が2021年7月から22年3月にかけて辺野古崎沿岸から大浦湾沖合に移植した小型サンゴ類3万5千群体などの状態について、潜水調査してきた。「移植に成功している群体がある一方で、多くの群体は死滅した部分がある。50%以上の部分が死滅している群体も数多く存在している」などと評価した。

 さらに同会は、防衛局が委嘱した有識者らでつくる「環境監視等委員会」の議論について「新たなサンゴを委嘱することにより、移植先にもともと生息しているサンゴ類に与える影響については全く考慮されていない」と断じた。
 (梅田正覚)