【表あり】国と沖縄県の法廷闘争は10度目 辺野古新基地訴訟 過去には工事中断させたことも


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 辺野古新基地建設を巡る国と県の争いが、10度目の法廷闘争に発展した。両者の訴訟は、翁長雄志知事時代の2015年11月に国が県を相手に代執行訴訟を起こしたのが始まりだ。初期の訴訟では和解を成立させ、新基地建設に向けた工事を約10カ月中断させるなど、一定の成果を上げた。ただ、最近は中身の審理に入らないまま、入り口論で退けられるケースも多く、県にとって苦しい状況が続く。

 これまでの訴訟9件のうち、和解や取り下げが4件あるほか、4件で県の敗訴が確定。係争中の1件は、県による埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求める抗告訴訟。一・二審で県が敗訴し、最高裁に上告している。

 15年10月に当時の翁長知事が仲井真弘多元知事による埋め立て承認の取り消しに踏み切ると、国は翁長知事による承認の取り消しは違法として代執行訴訟を提起。県側も15年12月、執行停止の取り消しを求める訴訟を起こすなど対抗した。

 16年3月、国が訴えを取り下げ、工事を中断して再協議するなどの内容で和解。だが、国は約4カ月後に、埋め立て承認取り消しに対する国の是正指示に応じないのは違法だとして、再び県を提訴するなどし、争いが続いた。

 玉城デニー知事の就任後は、埋め立て承認撤回を取り消した国交相の裁決に関する一連の訴訟と、サンゴ移植について農林水産相が県に是正指示を出したことを受け、県が指示取り消しを求めた訴訟がある。サンゴ移植の訴訟は21年7月に県の敗訴が確定したが、最高裁の裁判官5人のうち2人が反対意見を付けるなど、判断が割れた。