元自民沖縄県連会長の西田健次郎氏、旧統一教会と接点 関連団体の議長にも 専門家「改憲巡り、利害が一致か」


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世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の県内拠点である那覇家庭教会=那覇市

 【東京】世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党をはじめとした政治家との関わりが明らかになる中、旧統一教会の関連政治団体「国際勝共連合」の改憲案と、自民党の改憲草案が類似している点に注目が集まっている。県内でも、自民党沖縄県連会長を務めた重鎮と旧統一教会との間に、憲法改定を巡る「接点」が浮上している。専門家は「互いの利害が一致したのでは」との見方を示した。

 「うり二つ」「そっくりだ」―。単文投稿サイト「ツイッター」にこうした投稿が相次ぐなど、話題になっている1本の動画がある。勝共連合が2017年4月に公開した「憲法改正について」と題した動画だ。

 勝共連合の幹部が出演し「憲法の改正がどうしても必要だ」と訴える。特に強調したのが(1)「緊急事態条項」の新設(2)家族保護の文言追加(3)「自衛隊」の明記―の3点。自民党が12年に発表した改憲草案とも共通していることから、両案の類似点を指摘する投稿が相次いでいる。

 県内でも改憲を巡る動きで、自民県連と旧統一教会との接点が浮かび上がる。

 毎年、5月3日の憲法記念日に改憲を訴える講演会を主催する「自主憲法制定沖縄県民会議」で会長を務めるのは、元県議で、自民党県連会長も務めた西田健次郎氏だ。同会議の全国組織「自主憲法制定国民会議」は1969年、岸信介元首相が設立した「改憲民間団体」で、評議員のメンバーの中には勝共連合幹部の名前もある。

 西田氏は、旧統一教会の関連団体「沖縄県平和大使協議会」の議長を務め、20年8月には同団体主催のフォーラムで主催者としてあいさつもしている。

 旧統一教会を巡っては、過去に高額な商品を売りつける「霊感商法」や、信者からの高額寄付などが問題視されている。西田氏に、こうした点も含めて、旧統一教会についての認識を問うと「献金問題などの実態を知らなかった。寄付金をもらったことはないし、家庭を大事にする点など理念は素晴らしい。共産主義に対する意識でも通じる部分がある」と述べた。

 自主憲法制定沖縄県民会議の副会長には、西田氏が自身で「就任を打診した」という沖縄市の実業家の男性が就いている。不動産登記簿によると、男性は17年12月から、旧統一教会の沖縄拠点である「世界平和統一家庭連合那覇家庭教会」(那覇市)の抵当権者となっている。自主憲法制定国民会議が19年2月に開催した研究会で講演し、評議員にも名前を連ねていた。

 男性は、旧統一教会との関係について「今はもう何年も顔を出していない」としながらも、過去に信者だったと認めた。改憲運動との関連については「沖縄のため、日本のためという気持ちでやっている」と組織的な関与は否定した。

 宗教問題に詳しい東京女子大学非常勤講師の島田裕巳氏は「旧統一教会が、政権与党の政策に関与するほどの影響力があるとは考えにくい。旧統一教会が、組織存続のために自民党にすり寄ったと考えるのが自然だ。自民党の目的は、政権与党の立場を堅持すること、党是である改憲を実現することだ。理念が共鳴したということではなく、互いの利害が一致したということではないか」との見方を示した。 (安里洋輔)