辺野古周辺の住民、23日に国を提訴へ 設計変更申請巡る国交相裁決の取り消し求める


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
埋め立て工事が行われている名護市辺野古の沿岸部

 名護市辺野古の新基地建設で、軟弱地盤改良工事を追加する防衛省沖縄防衛局の設計変更申請を巡り、国の工事の進め方の適法性を問うため、辺野古周辺の住民らが国を相手とした新たな抗告訴訟を23日に那覇地裁に起こす。原告は少なくとも17人を予定している。16日に弁護団が記者会見を開いて発表した。

 新基地を完成させるためには、設計変更申請に対する県の承認が必要。県は昨年11月、軟弱地盤の調査が不十分であることなどを挙げ、不承認としたが、国土交通相はことし4月、県の不承認を取り消す裁決を出した。辺野古周辺住民らは、国交相裁決が違法だとして、裁決取り消しを求める訴訟の提起を予定している。

 国交相裁決について、県は「違法な国の関与に当たり、無効だ」などとして、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出たが、係争委は県の申し出を却下。審査対象となる「国の関与」に該当しないとし、裁決が違法かどうかは判断しなかった。県は今月12日、係争委の結論を不服とし、裁決の取り消しを求めて福岡高裁那覇支部に提訴した。

 新基地建設を巡る県と国の訴訟では、裁判所が中身について判断せず、県の訴えを退けるケースが多い。一方、2019年に提訴された辺野古の埋め立て承認撤回取り消しに関する住民の訴訟では、執行停止に関する決定で一部の原告適格が認められた。ことし4月の一審那覇地裁判決は住民の訴えを却下したものの、県の訴訟より踏み込んだ審理がされた。