琉球新報社 
25日告示、9月11日投開票の県知事選を前に、琉球新報社、沖縄テレビ放送、ラジオ沖縄の主催による「県知事選立候補予定者公開討論会」が17日に那覇市の琉球新報ホールで開かれ、現職の玉城デニー氏（62）、前宜野湾市長の佐喜真淳氏（58）、前衆院議員の下地幹郎氏（61）が論戦を繰り広げた。米軍普天間飛行場の返還・移設問題を巡って3氏の解決策の違いが明確となり、子ども支援や経済浮揚策などで独自色と政策実現の実行力などを競った。討論会の議論を紹介する。
（文中敬称略）
玉城デニー氏「誇りある豊かな社会」
この4年間、新時代沖縄の到来、誇りある豊かさ、沖縄らしい優しい社会の構築の視点で施策に取り組んできた。首里城焼失や豚熱、新型コロナウイルス、軽石漂着など災害級とも言える厳しい状況に、職員と一緒に対策を取ってきた。4年前に掲げた291項目の公約の全てに着手した。287項目は実際に予算を立て計画を進めており、実現率、実行率は98・6％だ。今回の選挙では（次の）三つを同じ重みと捉えている。第一は県経済と県民生活の再生だ。沖縄経済は全国を牽引（けんいん）する発展可能性を持ち続けている。コロナ収束後を見据え、新沖縄21世紀ビジョン基本計画に基づき、県経済再生に取り組む。第二は子ども施策の充実だ。子どもの貧困対策を県政の最重要政策に位置付けてきた。引き続き子ども施策に全力で取り組む。そして米軍基地の問題。普天間飛行場の1日も早い危険性除去は喫緊の課題であり、辺野古新基地建設反対は県民が一貫して示してきた強い民意だ。基地のない平和で誇りある豊かな沖縄の実現に向けて、今後とも全力で取り組む。
玉城 デニー氏（たまき・でにー） 1959年10月13日生まれ、旧与那城村出身。上智社会福祉専門学校卒。2018年の知事選で初当選。
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佐喜真淳氏「基地問題終わらせる」
新型コロナウイルスで脅かされた県民の命と健康を誰がどうやって守るかがまず重要だ。島しょ県の特異性を鑑み、政府や航空会社などと協力して、水際対策を徹底する。知事の責任と使命感で各市町村との連携を強化し、ワクチン接種率を上げたい。新型コロナの感染拡大や物価高騰で沖縄経済は大きなダメージを受け、特にリーディング産業の観光関連産業はこの2年間で1兆円規模で収入が減った。経済をV字回復するため1千億円規模の支援を実現したい。子ども特区の導入で給食費、医療費、保育料の無料化を全県で実現したい。普天間飛行場は返還合意から26年がたった。2030年度までに普天間返還を実現する。嘉手納以南の約1千ヘクタールと言われる米軍施設返還による跡地利用を国家プロジェクトとして政府と連携を図って取り組む。那覇から名護までの鉄軌道導入に向け、具体的に進める。今までの問題課題を解決し、子どもたちや若い人たちがチャレンジをする沖縄をつくるため、基地問題を終わらせて、県民一丸となって未来をつくっていく。
佐喜真 淳氏（さきま・あつし） 1964年8月9日生まれ、宜野湾市出身。千葉商科大卒。前宜野湾市長。2018年の知事選で落選。
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下地幹郎氏「強い沖縄を取り戻す」
知事選は継続するか、改革するかを選択してもらう選挙になる。私たちは新たな課題に直面している。社会資本整備ではなく人に視点を当てると子どもの貧困や低所得、子どもの虐待などがある。そして基地問題は全く解決しない。辺野古反対は誰でも言える。問題は止めたか止められなかったか。大胆に沖縄の考え方を変えていきたい。主体性を全部沖縄に求める。基地でも経済でも全て沖縄が提案していく。国を相手にしない。距離を取る。それから新しい沖縄ができる。辺野古の問題を終わらせなければいけない。全てにおいて基地問題が絡み、経済政策が前に進まない。（普天間飛行場の）訓練を全て馬毛島に行かして、これ以上の（辺野古の）埋め立てをしない。軟弱地盤を終わらせる。子どもへの投資もしなければならない。専門学校も大学も保育も授業料を出す。給食、医療費の無料化だけではない。朝食も出す。辺野古を終わらせ、子どもへの投資で未来を作ることをやれば必ず沖縄の道は開ける。強い沖縄の政治を取り戻さなければ沖縄の未来はない。
下地 幹郎氏（しもじ・みきお） 1961年8月14日生まれ、宮古島市出身。中央学院大卒。衆院議員を通算6期務め、昨年衆院選で落選。
＜出席者＞
玉城デニー氏（62）＝共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦
佐喜真淳氏（58）＝自民、公明推薦
下地幹郎氏（61）
司会・進行
島洋子（琉球新報編集局長）
稲嶺羊輔（沖縄テレビ放送アナウンサー）
金城奈々絵（ラジオ沖縄アナウンサー）
