和牛の「血統矛盾」再発防止へ連携を強化 沖縄県や畜産団体 信頼回復へ対策継続


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沖縄県庁

 2020年に県内で和牛の血統不一致が発覚したことを受け、県や畜産関係団体は家畜人工授精師の業務手順を示したマニュアルを作成し、種付け後に書く授精証明書をスマートフォンやタブレットなどの電子機器を用いて行うシステムを構築するなど再発防止策を講じてきた。ある関係者は「一連の不祥事以降、県産子牛の販売に影響が出ないか心配だったが、幸いにも大きな価格下落はなかった」と話す。ただ、ブランドの信頼回復は道半ばで、関係機関が連携して継続的に取り組むことが必要だ。

 県家畜改良協会は、全国和牛登録協会の依頼を受け、21年度からDNAの不一致が生じていないか久米島を中心に県内の牛のDNA検査を実施している。23年度まで継続的に行う。赤嶺雅敏事務局長は、DNA不一致の原因となった人工授精に関する書類について、これまでは手書きで負担になる業務も多かったと指摘する。その上で「人工授精師の業務体制の検査に加え、電子機器の導入などで業務負担を軽くし書類の記載不備が減らせればミスは事前に防げるはずだ」と述べた。

 県畜産課の担当者は、昨今は新型コロナウイルス感染症の影響もあり子牛価格の低調が続くが、家畜は県経済を支える重要な産業だと指摘。「全国に子牛を供給する県産ブランドを守るためにも、関係団体などと引き続き立ち入り検査や、マニュアルに沿った指導を徹底し再発防止に努めていく」と述べた。
 (当銘千絵)