地域の活性化と脱炭素社会の構築を同時に実現するため、環境省は4月、那覇市の沖縄奄美自然環境事務所に「地域脱炭素創生室」を立ち上げた。環境省だけでなく県、旅行業者からも人材が集結。7月から本格稼働し、沖縄の風土に根差した施策を展開していく。
7月11日付で室長に当たる企画官に就いた白土(しらと)太一さんは、環境省本省で地球温暖化対策推進法や外来生物法改正に携わってきた。法制に関わってきた強みを生かし、沖縄での脱炭素社会の“骨”づくりを担う。
風力や水力といった再生可能エネルギーの立地が難しいとされる沖縄。「住民一人一人が関わる離島での脱炭素のモデルをつくっていけるのではないか」と沖縄の可能性を感じている。
脱炭素地域づくり専門官の木村充朗(みつあき)さんはJTBからチームに出向してきた。関西で旅行販売に長らく携わってきたが、沖縄の自然の美しさを見る目が変わったという。「地域の課題を解決するための一つの道具として脱炭素を考えていきたい」と経験を生かして、施策に“肉”付けしていく。
室長補佐を務める前川孝紀さんは県から出向。前任は県環境部自然保護課で「沖縄の風土、慣習を知る地元民として、市町村との連携強化に努めたい」と話し、白土さんが作った“骨”と木村さんが付けた“肉”に“血”を通わせていく役を担う。
宇賀神智則(うがじんとものり)所長は「それぞれの強みを生かし、骨・肉・血、三位一体で、沖縄の元気な脱炭素社会づくりに貢献してほしい」と期待した。 (安里周悟)