【詳報④】宜野湾市長選 クロス討論で互いにぶつけた質問とその答えは?立候補予定者座談会


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(左から)松川正則氏、仲西春雅氏

 【宜野湾】宜野湾市長選の立候補予定者を招いた21日の座談会では、現職の松川正則氏(68)と「9・29県民大会の会」会長で新人の仲西春雅氏(61)が経済振興や子育て、福祉政策などで独自の政策を訴えた。米軍普天間飛行場の移設問題では、容認と反対で考えが分かれ、それぞれ返還・撤去に向けた具体的道筋を示した。クロス討論では経済の立て直しや増収への取り組みのほか、公約などに対する疑問をぶつけ合い、白熱した議論が交わされた。 (’22宜野湾市長選取材班)
 (文中敬称略)

松川氏「普天間返還 取り組みは」 → 仲西氏「県内たらい回しを阻止」

 松川 普天間飛行場の閉鎖返還にどう取り組むか。具体策は。

 仲西 新基地建設を唯一の解決策とするのは思考停止で、今ある危険性を放置している。県内で基地をたらい回しさせないことが普天間飛行場の早期閉鎖返還につながる。米海兵隊のグアムやハワイ、オーストラリアなどへの2024年10月からの移転に合わせて、普天間のヘリコプター部隊の国外・県外への移転を求めて早期の閉鎖返還を実現する。

 松川 税の増収と国費の確保にはどう取り組むか。

 仲西 直近の所得税は微増だが伸びている。これを継続し、観光関連や県民のなりわいに影響する部分を伸ばす。県と連携して取り組む。コロナで打撃を受けた中小企業の需要を喚起し、経済回復に取り組む。収束後はインバウンドを含む1千万人の観光客を市に呼び込み、泊まり、地域で消費できるような、世界水準の都市型国際観光地の形成に努める。

 松川 保守市政で防衛予算は増収した。市経済・財政の立て直しにどう取り組むか。

 仲西 防衛予算は保育園の職員の給料など、いろいろな形状で使われている。防衛予算としていただいており、私も「迷惑料」として防衛予算を同じように使っていくが、外していかなければいけない部分もあり、当然見直しは必要だと考えている。行財政改革を見直して、情報を得て精査し、事業を削除するところは削除するという形でやっていきたい。

 

仲西氏「教団関係議員から応援」 → 松川氏「市政に影響するか疑問」

 仲西 辺野古埋め立ての県民投票の参加不表明と結果について。

 松川 県民投票を実施する場合、市町村長の意見を聞かなければならない。意見を聞かずに進めた知事に自治法違反だと物申している間に混乱が生じた。市町村長が納得しないまま進めたことに原因があった。県民の7割が移設を反対したことは尊重したいが、この4年間で辺野古の30%に土砂が投入され埋め立ては進んでいる。移設を容認せざるを得ない。

 仲西 旧統一教会と関係があるとされる議員から応援されていることについて伺う。

 松川 宜野湾市長として、一つの宗教であり、心のよりどころを求めている方々もいると思う。政治に関わる部分を一方的に単純批判はしかねる。一国民、一個人として、政治に対する思想信条は制限されるものではなく、人権を踏みにじるようなことは考えていない。宜野湾市政にどう影響するかは疑問があり、政治家個人が説明責任を果たすべき。

 仲西 「給食費の無料化」は未達成だ。公約達成率を伺う。

 松川 現在、給食費は市が半額助成しており、一般財源から1億5千万円がかかっている。受益者負担を考えるべきじゃないかとの議論もある中で、次から次にまったなしの事業がある。公園や公民館の建て替えなど公共事業の需要が高く、少し待っていただく部分も必要で、無料化には至っていない。公約は実施中と着手で約8割となっている。

 


出席者

 松川正則氏(68)=無所属現職、自民、公明推薦
 仲西春雅氏(61)=無所属新人、共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦

 司会 島袋良太(琉球新報社中部報道グループ長)