沖縄「医療は災害レベル」県内20の病院長が訴え 小児用ICUで高齢者治療や8件目で入院も死亡・・・危機的状況 県民に「行動変容を」  


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県民に感染対策やワクチン接種を呼び掛ける病院長ら=23日、南風原町の県医師会館

 新型コロナウイルスの入院患者の増加が予想されることから、沖縄県の救急患者を受け入れる20重点医療機関の病院長らが23日、南風原町の県医師会館で会見を開いた。新規感染者や医療従事者の欠勤者が増加したことで医療現場が「災害レベルに達している」と強調し、県民の命や医療体制を守るため、感染対策の徹底やワクチン接種を強く呼び掛けた。

 会見には琉球大学病院の大屋祐輔病院長ら5人が出席した。入院調整が困難を極めた8月初旬には、脳出血の60代男性の受け入れ調整に時間がかかり、8件目の問い合わせで入院できたものの、死亡した事案があったという。

 救急搬送時の現場待機が30分以上になることや、受け入れ先確保のため医療機関に4回以上問い合わせる困難事例が急増しているという。大屋病院長は「(このような事例は)過去の沖縄ではほぼゼロだった」と、非常事態であることを繰り返した。

 県立南部医療センター・こども医療センターの和氣亨院長は、集中治療室(ICU)の病床だけでは足りず、小児集中治療室(PICU)で高齢者の治療を続けた事例を挙げるなど、やむを得ず救急搬送を断っている背景を説明した。その上で「行政による行動制限はないが、県民に行動変容をお願いしたい。自分自身の感染予防により、高齢者や妊婦など弱い立場だけでなく、医療も守っていただきたい」と訴えた。

 (嘉陽拓也)