本部町長選、現職・平良氏と新人・真部氏が政策発表 16年ぶり選挙戦の見通し


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【左から】平良武康氏、真部卓也氏

 【本部】9月6日告示、9月11日投開票の本部町長選は、現職の平良武康氏(72)=無所属=と新人で町議の真部卓也氏(41)=自民推薦=が出馬を表明しており、16年ぶりの選挙戦となる見通し。両氏は24日までに政策を発表した。 (長嶺晃太朗)


平良武康氏「実績踏まえ経済活性化」

 現職の平良武康氏は子育て支援策など1期目の実績を強調し、町政の継続を訴えた。2期目に向けては地域経済活性化のための政策「町内まるごとテーマパーク構想」を提唱する。「心の豊かさを追求していきたい。政府に依存するだけでなく、自分たちの経済は自分たちで保っていく必要がある」と述べた。

 1期目はふるさと納税を財源に実現した給食費の無償化、子育て支援住宅や道路インフラの整備、農業振興などに力を入れたと強調した。企業版ふるさと納税などに力を入れ、財源を確保し給食費無償化を継続するとした。「町民の日常生活を優先し町の未来を切り開いていく」と意気込む。

 2期目の重点政策として(1)経済活力の再生、観光業・商工業・農林水産業の振興(2)子ども・子育て支援(3)安心して暮らせる福祉社会(4)主要な道路や建物の整備(5)IT事業の活性化―を掲げる。

 まるごとテーマパーク構想については「本部のありのままの自然を活用し、観光にリンクしたまちづくりをしたい」と説明する。八重岳山頂に自然を活用したアクティビティー施設、新鮮な海の幸を堪能できる「お魚センター」、国際クルーズ船の就航に向けたターミナル整備のほか、町内周遊バスの継続などに取り組み、アフターコロナを見据えた観光振興を図るとした。

 辺野古新基地建設用の土砂の搬出作業が続く本部町塩川地区の使用については「北部地域の美しい自然環境は残していきたい」とした上で、「行政の長の立場としては、法律などの範囲で対応しなければならない」と述べた。自衛隊の訓練については「地域住民の生活や環境に影響を与えないことを原則に、どのような演習なのか精査しその都度対応する」とした。

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 たいら・たけやす 1950年2月生まれ、町謝花出身。名城大卒。73年に県庁入庁。2011年から副町長を務め、18年の町長選に無投票で初当選した。

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真部卓也氏「経験生かし医療を充実」

 新人の真部卓也氏は市街地の活性化、准看護師の経験を生かし医療や社会福祉の充実などに取り組むと強調する。「人口減少に歯止めがかかっていない。雇用と暮らしを守り、本部を大きく変えていく」と町政刷新を訴える。「国としっかり向き合い、予算を獲得することで町民の暮らしを豊かにしていく」と述べた。現町政について「新たな財源確保のため、国との交渉を十分にしてこなかった」と指摘し、「本部が持つポテンシャルを生かせていない。観光客を呼び込むための努力が不十分だった」と述べた。

 重点政策として(1)もとぶみなと街構想(2)観光資源の有効活用で地域経済活性化(3)子育て・教育、女性の働く環境の整備(4)医療行政の充実(5)新型コロナ対策―を掲げる。みなと街構想ではクルーズ船の寄港に向けた本部港の整備、滞在時間を長くするためのワーケーション施設の整備やホテルの誘致、新たな観光スポットの開発、町営市場周辺の再開発などに取り組む。

 給食無償化については、「ふるさと納税に頼った不安定な財源ではなく、しっかりとした財源を確保し継続していきたい」とした。デジタルを活用した行政手続きの簡素化、コミュニティーバス運行による高齢者に優しい町づくり、女性管理職の登用支援、保育士や介護士ら福祉従事者の処遇改善の推進、コロナ検査費用の軽減などを掲げた。

 辺野古新基地建設用の土砂の搬出作業が続く本部町塩川地区の使用については「法にのっとって対応する。那覇空港のためなら良くて、辺野古移設は駄目だという判断はあってはならない」とし、自衛隊の訓練については「しっかりと演習内容を確認し判断する。町民に害がない演習であれば受け入れる」と述べた。

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 まぶ・たくや 1981年2月生まれ、町渡久地出身。刈谷准看護高等専修学校卒。2004年から北山病院勤務。17年の町議選で初当選し、現在2期目。