【記者解説】辺野古巡り沖縄県が国を提訴 県知事選の告示日前日に踏み切った背景は


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沖縄県庁

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、県の審査申し出を国地方係争処理委員会(係争委)が19日に退けたことを受け、県は異例の早さで対抗措置に打って出た。地方自治法上、係争委の決定に不服がある場合の提訴期限は9月21日だったが、玉城デニー知事は同11日投開票の知事選の告示日前日に提訴に踏み切った。新基地建設「阻止」を掲げ再選を目指す玉城知事は、改めて有権者に公約の推進姿勢を示す狙いがある。

 玉城知事は本紙取材に「提訴は既定路線だ。選挙の前に提訴した方がいいと弁護士とも相談して決めた」と述べた。

 県幹部の一人は迅速な提訴に至った経緯について「あまり期間を置くと、国側に反論材料がないと取られかねない」と述べ、「政治判断」ではなく裁判闘争を有利に進めるためだと説明した。

 玉城県政にとって国との対話の糸口が見いだせない中、裁判闘争は「辺野古を止める」とする公約を実現する手法の一つだ。そのために知事選の対抗馬からは「裁判闘争では工事は止まっておらず、知事は結果が出せていない」と猛批判を浴びる。知事選ではこれらの手法も有権者に問われそうだ。
 (梅田正覚)