行政の戦争責任問う 県博でしまくとぅば鼎談


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沖縄戦当時の島田叡知事を題材とした映画「島守の塔」などについて議論する登壇者=28日、那覇市の県立博物館・美術館

 沖縄戦時の島田叡知事を題材にした映画「島守の塔」などについて議論する、しまくとぅば鼎談(ていだん)(しまくとぅばプロジェクト主催)が28日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。登壇者は島田や当時の荒井退造警察部長の戦争責任を「うやむやにしてはならない」と指摘した。

 沖縄近現代史家の伊佐眞一さんは「五十嵐匠監督は『フィクションだ』と言っているようだが島田、荒井は架空の人物ではない。多くの県民の命を奪った一番の行政責任者だ」と批判。「最後に(県職員に)『生きろ』と言ったのは全くの私事だ。区別して考えねばならない」と強調した。

 映画の製作委員会が琉球新報社、沖縄タイムス社などで構成されていることに関連し、琉球新報の小那覇安剛編集委員は「監督には島田の功罪、一般住民の犠牲をきちんと描くよう申し入れた」と述べた。その上で「島田県政は軍隊に飲み込まれ、県民を戦場に動員した県政だった。沖縄戦をきちんと検証する報道は今後も続ける」と語った。

 沖縄タイムスの阿部岳編集委員は「会社を代表する立場ではない」としつつ、映画製作が県外の地方紙などと連携して取り組まれたことに関し「沖縄戦というテーマでは連携は成立しない。沖縄2紙が沖縄戦の犠牲について免罪符を与えてはならない」と述べた。

 琉球民族独立総合研究学会の親川志奈子共同代表、写真家の比嘉豊光さんも登壇した。