マンゴー研究で伊波氏に農業研究会賞 果皮障害を軽減、対策技術を開発


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表彰状を受け取る伊波聡主任研究員=26日、糸満市の県農業研究センター

 県内農業の振興に貢献した若手研究者に贈られる沖縄農業研究会賞の受賞式が26日、糸満市の県農業研究センターで行われ、本年度はマンゴーの果皮障害軽減技術に関する研究に取り組んだ同センター石垣支所の伊波聡主任研究員が受賞した。

 伊波氏は、熱帯果樹類の栽培や品質保持に関する研究に携わってきた。その中で贈答用として人気のあるマンゴーは、特に高単価で取引するには外観が良好であることが必要条件となるため、黒キズ障害や炭疽病などの発生要因の解明と対策技術の開発に取り組んだ。

 先島地域を中心に生産量が増加傾向にある品種「リペンス」を用いた研究で、果実の黒キズ障害や炭疽病がナシの尻あざ症や裂皮などに類似していることに着目した。これらの対策として有効なギ酸カルシウムの散布をリペンスにも応用したところ、障害の発生率低減につながった。また、果皮褐変障害の対策として収穫後に高湿度条件で果実を追熟させることで抑制可能であることを明らかにし、障害の発生が果皮からの水分損失であることも究明した。

 同技術は八重山地域のマンゴー生産現場ですでに導入されている。

 伊波氏は「今後は他品種での技術の活用と、未解決の果皮障害の軽減技術の開発を目指したい」と述べた。
 (当銘千絵)