30~31日にかけて、台風11号が接近した沖縄県北大東村は、村港にある建設会社所有の木造社宅1棟が全壊した。業者の社長や村によると、暴風で屋根や壁の一部が吹き飛ばされた。倒壊時、屋内に50代の男性がいたが、けがはなかったという。南大東村も合わせ、両村の基幹産業であるサトウキビがなぎ倒され、折れた街路樹が道路をふさぐ被害も発生。停電や通信障害も起きた。社長によると、倒壊した社宅は築50年ほど。長屋のように中で部屋が仕切られ、12人ほどが居住できる間取りだという。那覇から来た男性作業員が1人で住んでいた。
31日午前5時15分ごろ、「バーン」と大きな音が鳴り響き、トタン屋根が吹き飛ばされた。天井の薄いベニヤ板が男性の方向に落ちてきたが、幸いけがはなかった。男性は近くに止めてあった作業車に避難し、夜が明けるのを待ったという。その後、風が弱まるのを見計らって別の社宅に移動した。社長は「けががなかったのが何より」と胸をなで下ろした。
十数年前にも台風でプレハブが飛ばされたことがあり、今回は重機に使用する大きなタイヤを屋根の上に乗せて対策していたが「瞬間的な突風で飛ばされたのかもしれない」と声を落とした。倒壊した社宅は今後取り壊す予定だ。
サトウキビの被害も懸念されている。南大東村役場やJAおきなわ南大東支店の職員によると、昨夏や今春に植え付けたサトウキビが倒れているという。現在は夏植えの時期に当たり、職員は収穫への影響を心配する。
被害の全体像は分かっておらず、村やJA、製糖工場などが1日に調査して確認する。
(照屋大哲、稲福政俊)