2023年度の沖縄関係予算の概算要求額は前年度を200億円下回る2798億円となった。2年連続で3千億円を割ったことに、県内の経済界からは「残念だ」と落胆する声が広がった。一方、振り分けで増額された事業や新規事業について評価する声もあった。
沖縄経済同友会の渕辺美紀代表幹事は、燃料や原材料の高騰、物価高の現状を踏まえ「厳しい額だと思う。経済がコロナから回復の途上にある中で、せめて増額してほしかった」と落胆を隠さない。強い沖縄経済の自立に向けた西銘恒三郎前沖縄担当相の独自施策が盛り込まれていることは評価したものの「実行するためにもしっかりと予算を付けてほしかった」と話し、改めて予算上積みの必要性を強調した。
県工業連合会の古波津昇会長は「減額は確かに残念だが、予算を使い切れていたのかを検証する必要もある」と持論を語る。高付加価値製品の生産・移出拡大を支援する沖縄域外競争力強化促進事業などが増額したことは歓迎した。燃料価格の高騰で沖縄電力の業績が悪化していることを指摘し「製造業には電力の安定化が欠かせない。予算執行のためにも安定化の支援にも取り組んでほしい」と要望した。
県産酒類の海外展開調査や酒造メーカーの自立経営に向けた実態調査が新規事業として盛り込まれた。県酒造組合の佐久本学会長は「自立に向けた取り組みは各社の経営の問題だが、支援する予算組みはわれわれにとって大変ありがたい」と喜ぶ。「世界ではジンやウオッカが人気だが、日本の蒸留酒として泡盛の認知度を高めるきっかけづくりをしたい」と語った。
(小波津智也)