知事選立候補者の政策や重要争点について、識者に各論点を読み解いてもらった。
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―物価高の原因は。
「新型コロナウイルスによる物流混乱と一時的に低迷した需要の急回復に生産と物流が対応できていない。そしてウクライナへの軍事侵攻によって、ロシアが経済制裁を受けたことによる影響がある。化石燃料と輸入食料品などに依存した日本の経済構造も背後にある」
―県民、事業者への影響は。
「重要な視点は、物価高騰が深刻な影響を及ぼすのが低所得者層や年金受給者ということだ。医療費支出を抑えるために受診せず、症状が悪化するなどの悪影響も想定される。そして食料品と光熱費、交通費という生きることと生活基盤に直結するこれらの商品価格の高騰は、医療、衣料、学習、旅行、外食などへの支出削減へと波及し、経済全体の所得減へとつながる」
「生産者では、エネルギーを含む原材料費の上昇分を販売価格へ上乗せすることが難しい中小企業者や農林水産事業者が特に影響を受ける」
―物価高対策は。
「長期的には脱炭素と低所得者層への対策に目を転じることだ。物価高騰の原因の背後にあるのは化石燃料と輸入食料品への依存だ。化石燃料に依存しない対策として例に挙げたいのは、東京都の太陽光発電義務化のほか、離島地域には再生可能エネルギーと電気自動車の導入促進だ」
―各候補者の政策をどう見るか。
「沖縄の課題である低所得者対策では貧困世帯をつくらない防貧対策が重要だ。3候補者とも短期的対策として『子どもの居場所づくり』や『給食費・保育費・子ども医療の無償化』などが共通する」
「下地幹郎候補と佐喜真淳候補は低所得者層への物価対策については述べられていない。玉城デニー候補は、生活者への支援について触れられていない」
―新たな知事に求められる政策は。
「社会混乱がなく成長産業へ移動できる政策として、北欧諸国では企業の解雇規制を緩やかにする一方、政府が失業手当と成長産業に必要な労働者の知識や技術の学び直し(リスキリング)を保証する積極的労働政策(フレキシキュリティー)が採られている。低スキルに起因する低所得を解決するためにも県がリスキリングを推進する必要がある」
(経済政策)