大型で強い台風11号は3日夜遅くに宮古や八重山に最接近し、両地域を暴風域に巻き込んだ。強い風で木やサトウキビがなぎ倒された地域もあった。停電や海と空の便の欠航が相次いだ。宮古島市や石垣市の避難所には住民らが訪れ、台風が過ぎ去るのを待ち、不安な夜を過ごした。想定外の台風接近を受けて予定を変更せざるを得ず、食料を探し店を回る観光客もいた。
【宮古島】台風11号の暴風域に入った宮古島地方では3日朝から雨交じりの強い風が吹き付け、海は大しけとなった。市南部の漁港などでは5メートルを超える大波が防波堤を乗り越えて打ち寄せた。宮古島市は市内全域に避難指示を出し、住民は避難所や自宅で不安な一夜を過ごした。海、空の便は全て欠航した。
沖縄電力によると午後9時現在、宮古島市内全域で2380戸、多良間村内で330戸が停電している。
宮古島地方気象台は午前4時39分に同地方に暴風警報を発令した。これを受けて、県宮古土木事務所と市は午前10時すぎに市内4島を結ぶ伊良部大橋、池間大橋、来間大橋を通行止めにした。市内に車や人の姿はなく、スーパーや飲食店などの多くが休業した。
市は午前5時には市役所総合庁舎など市内7カ所に避難所を設置した。新型コロナウイルス感染防止のため、簡易パーティションで区切るなど工夫した。3日午後9時現在で13世帯16人が避難している。
市下地の自宅から市役所庁舎の避難所に80代の母親と避難した50代の男性は「家が海のすぐそばだから高潮が心配だ」と話した。「昨年の台風時は避難せずにかなり怖い思いをしたので、今回はすぐに避難所に来た。早く過ぎ去ってほしい」と願った。
(佐野真慈)