那須与一が乗る馬までユーモラスに表現 人気講談師・神田伯山さん襲名して初の沖縄公演 琉球新報ホール


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抑揚の効いた巧みな話芸で満場の観客を魅了した神田伯山さん=3日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(又吉康秀撮影)

 人気講談師・神田伯山さんによる独演会(琉球新報社主催)が3日、琉球新報ホールで開かれた。真打(しんうち)に昇進し「神田伯山」を襲名後、初の沖縄公演。計4席を披露し、緩急と迫力のある講談に、約600人が聞き入り、何度も沸いた。

 「扇の的」は、平家が船に扇を置き、陸にいる源氏に射るよう試す物語。弓矢の名人・那須与一が見事に的を射る様子を描くが、周囲の人物や与一が乗る馬の様子までユーモラスに演じ、終始笑いに包まれた。

 「四谷怪談 お岩誕生」で空気は一変。登場人物の不気味さや重たい雰囲気を表現し、会場の空気は張り詰めた。最後は豆腐屋の夫婦と学者の人情を描く物語「徂徠(そらい)豆腐」で温かい空気に包まれた。

 伯山さんは「人間は悪いことがあれば良いことがある。つらい季節を送っていても、必ず光があって道は開けると信じて過ごしていきたい」と締めくくった。

 那覇市から妹と来場した女性(72)は「面白くて涙をこらえるのに大変だった。熱がこもっていて、生で聞けて良かった」と感激した様子。妹(60)は「身を乗り出して聞き入った」と笑顔だった。

(中村優希)