米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設を巡り、県は5日、沖縄防衛局が申請していた大浦湾側の小型サンゴ約8万4千群体などの特別採捕(移植)許可について、3度目の不許可を通知した。サンゴの生息域周辺に軟弱地盤があり、現行の埋め立て承認では工事が不可能なことから、サンゴ移植も必要性がないと判断した。
移植不許可となったことについて、沖縄防衛局は琉球新報の取材に「(申請は)県から許可を得た事例や、環境監視等委員会の指導・助言を踏まえた内容だ。内容を精査し適切に対応する」と回答した。
県が移植を不許可としたのは大浦湾側の「DENH」と呼ばれる地区に群生する小型サンゴの他、大型サンゴ21群体とショウガサンゴ8群体。防衛局は、2013年の県の埋め立て承認に基づく工事に伴う環境保全措置として、今年7月に移植許可を県に申請した。
21年12月の前回申請の際は移植対象の小型サンゴを約3万5350群体としていたが、今回の再申請時には対象数を約8万4千群体に倍増させた。大浦湾沖合に設定する移植予定海域も倍以上となる約3・2ヘクタールの範囲に拡大していた。
移植を不許可にした県は5日、防衛局に通知書の原本を発送。不服がある場合の措置として、3カ月以内の行政不服審査法に基づく審査請求と、6カ月以内の抗告訴訟の提起ができる旨も通知している。
(梅田正覚)