沖縄近海で複雑な動きをした台風11号の影響で、船舶が入港できず、宮古、八重山の先島地方で生鮮食品を中心とした生活物資の品薄が長期化している。沖縄本島と県外、先島地方を結ぶ船舶は8月31日から欠航が続く。先島への入港は早くて今月8日頃と見られ、9日間にわたり船が入港しないことになる。野菜の卸売市場も品薄となっており、今後の高値が懸念される。
琉球海運によると、台風が本土に向け北上しているため、本土と沖縄本島を結ぶ便もすぐに再開とはならない。先島への入港は早くて8日の見通し。担当者は「ここまで大きい台風は久しぶり。予想していたが、だいぶ影響が出ている。一刻も早く運びたい」と嘆く。
石垣市内のスーパーでは一部の野菜や肉類、鮮魚などの生鮮食品、豆腐やインスタントラーメンなどが棚から姿を消し、品薄の状態となっていた。サンエーの担当者は「本島から商品を送れるのは7、8日頃の予定。先島の店舗に商品が並ぶのは9日頃になりそうだ」と話した。
沖縄協同青果によると、5日の卸売市場は台風11号の影響を受け全体的に品薄だった。県産野菜なら今の時期はゴーヤーやオクラ、ヘチマなどが出回るが、先週末は特に雨風が強かったため出荷できない農家も多く、ほとんど品物が入ってこない状況だったという。
現時点で台風による農作物の被害状況は分かっていないが、畑の水没による生育不良や塩害、果実の損傷などダメージが深刻で長期化する場合、青果物は高値で取引される可能性が高いという。
一方、県外産の野菜や果実についても船が入港できないため県内の在庫もほとんどなくなっている状態だ。特に県外産に頼っているグリーンボールや白菜などの葉野菜やダイコン、タマネギ類は生産地の天候不良により台風襲来前からしばらくは高値が続いている。
沖縄協同青果の担当者は船が入港できない場合、航空輸送に切り替える手段もあるが、その分値段は上積みされると指摘する。その上で「台風の影響は予測できないが、今後北上し長期化すれば当面の品薄と高値傾向は避けられないだろう」と危惧した。
(玉城江梨子、当銘千絵、西銘研志郎)