ハンセン病回復者への偏見や差別のない社会をつくるため、ハンセン病回復者や療養所、支援団体、県、専門家が一堂に会した県ハンセン病問題解決推進協議会(会長・森川恭剛琉球大人文社会学部教授)の初会合が5日、県庁で開かれた。
ハンセン病に関する法の施行や国家賠償訴訟などで当事者が勝訴した後も、回復者の孤立や離島への支援不足などが報告され、作業部会を設けて迅速に問題解決に取り組むことが確認された。
沖縄ハンセン病回復者の会の神谷正和さん(71)や知念正勝さん(88)は、協議会設立を「歴史的な出来事」と評価する一方、「時間との闘い。本気で取り組むことを期待する」と語った。
ハンセン病と人権市民ネットワーク宮古の亀濱玲子共同代表は、支援が離島に行き届かない課題や後遺症による介護認定の促進を求め、会議に参加した厚労省難病対策課に現地調査を要望した。当事者家族は、学校でいじめを受けた経験から、教育現場での啓発を強く求めた。
一方で、当事者が差別を恐れ支援を申し出ることができず情報が把握できない課題も議論された。知念さんは「足を運んで関係性を築き、暮らしの困りごとや個々の問題点を把握する優しさが必要」と訴え、関係機関による積極的な働きかけを求めた。
社会復帰を目的に、国が退所者に生活費を支給する「退所者給与金」の受給者は、2022年4月1日現在、沖縄県は403人と全国最多となっている。
(嘉陽拓也)