人口減少で生じる課題は?子育て支援不足に対応を 本村真氏(琉球大教授)<識者の視点・沖縄県知事選22>④


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本村 真氏

 ―県の人口は今後どのように推移するか。

 「国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、県全体の人口減少は2035年から始まる予測となっている。しかし他の都道府県と比べると減少は緩やかだ」

 「45年の人口予測を地域別に見ると、国頭村は15年比の6割となり、渡名喜村はほぼ半減するなど、離島や名護市以北の地域は人口が大きく減少すると予想される。さらに17歳までの人口予測に注目すると45年は15年比で8割5分となり、全国的には高い割合を示しているが、出生率が高い沖縄でも少子高齢化がさらに進むことを示している」

 ―人口減少で生じる具体的な課題は

 「最初に問題となるのは教育施設の閉鎖だ。小・中学校が閉校になると若い人の移住は難しくなる。さらに小学校は地域コミュニティーにも影響を与えているため、従来のように自然の流れに任せたコミュニティーの維持が、閉校で難しくなることも予想される」

 「人口減少が予測される北部や離島では、発達特性を抱えた子や親に対する子育て支援サービスが中南部と比べてすでに不足している。身近で支援を望む世帯の他地域への移住も進み、結果として人口減少が加速することになる。さらに、課題が生じた場合に周囲の目を気にして相談しにくくなり、孤立感が強まる可能性もあり、対応が必要だ」

 ―人口問題に対する3氏の政策をどのように見るか

 「県全体だけでなく北部や離島部の減少についてどのように考えているかが一つのポイントになる。各候補者とも離島振興に力を入れているが、人口が大きく減少する地域とそこで生じる課題を、どこまで把握して対策を考えているかは、どの政策からも読み取ることはできなかった」

 「教育現場において、発達特性の課題を有する家庭への支援は、貧困の連鎖を食い止める上でも重要となるが、そこに踏み込んだ政策も読み取れなかった」

 ―次の知事に求めることは。

 「発達特性を抱える子や親が近い距離で安心して使える、広域的かつ公益的なサービスを提供する拠点が北部や離島にも必要だ。行政の動きはまだ弱く、早めに手をつけてほしい」
 (児童福祉)