―ジェンダー平等に向けた政策の現況は。
「これまで男女雇用機会均等法や女性活躍推進法などジェンダー問題解決に向けた法整備がなされてきた。しかし罰則規定がなかったり、法の網の目をくぐり抜けたりすることで、問題を解決するどころか、それらを不可視化したり悪化させたりしている場合がある」
「女性労働者数は増加してきたものの、四半世紀に渡り雇用の柔軟化を推し進めた結果、女性は雇用調整弁的な役割を担う結果となり『女性活躍』とは言いがたい」
―沖縄の状況は。
「特に県内では女性労働者のうち6割以上が非正規雇用だ。県内の大学進学率や賃金の男女格差は全国と比して小さいが、県内の男性の大学進学率や賃金が低いことを考えると、地域格差や背景を踏まえた実態を丁寧に見ていく必要がある」
「いわゆる『沖縄女性』に対して、『宗教上の女性の優位』や『たくましく働く女性』などのポジティブなイメージを固定化させることは、ジェンダー問題を覆い隠したり、矮小(わいしょう)化したりしてしまう場合がある。ポジティブな『女性活躍』の言葉の裏側にある多様な女性の在り方や課題を注意深く見る必要がある」
―男女の不公平を放置し続ける弊害は。
「不公平や格差を放置することは単に女性の問題にとどまらない。子どもの貧困問題などの社会問題とも密接に結びついており、ジェンダー問題を社会全体の問題、人権の問題として共有していくことが重要だ」
―候補者の政策を見てどうか。
「ジェンダー平等の観点は知事選の争点として大変重要だが、政策への明記が一部にとどまることは残念だ。『女性活躍』を挙げながら、性差別是正制度には消極的といった候補もおり、ジェンダー問題への理解が十分ではない場合もある。簡潔化された政策から見えにくい候補者のジェンダー平等や性的マイノリティーに対する考え方を見える化するために、有権者は『パートナーシップ制度導入』や『選択的夫婦別姓制度』、『少子高齢化対策』などの政策アンケートもつなぎ合わせてみてほしい」
「知事には女性活躍推進法など既存の法制度にのっとるだけでなく、法の課題や限界を踏まえた上で、人権の視点に基づいた県独自のジェンダー平等政策を求めたい」
(ジェンダー研究)
(おわり)