【記者解説】松川氏再選、その意義は? 普天間飛行場返還へ求められる実行力 宜野湾市長選


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 【宜野湾】任期満了に伴う宜野湾市長選は11日投開票され、無所属現職の松川正則氏(68)=自民、公明推薦=が2万9664票を獲得し、再選を果たした。「9・29県民大会の会」会長で無所属新人の仲西春雅氏(61)=共産、立民、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=に1万1206票差をつけた。

 宜野湾市長選は現職の松川正則氏が再選を果たした。国とのパイプを生かした高率補助による豊富な事業展開など、松川氏の1期4年の安定した市政運営が市民の支持を得た形だ。

 松川市政では、着手から約42年を経て整備完了となった市道11号の全線開通や老朽化に伴う公民館の建て替えなど、政府与党との緊密な連携により公共事業を展開してきた。

 前市長の佐喜真淳氏以前に27年続いた革新市政時代と比べ約10倍となった防衛予算の獲得で、保守市政の強みをアピールした。公共事業の実効性の確保など市民が寄せる期待も大きい。

 一方で、政府が推し進める米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡って、松川氏は「移設容認」を明言しているが、県知事選では反対を掲げた玉城デニー氏が当選するなど、依然として移設反対の声は根強い。選挙期間中に繰り返し訴えた「返還までの道筋の明確化」を、県と国の対立が続く中でどう実行できるのか、政治力が試されることになる。

 最重要政策に掲げたコロナ下の経済再生に加え、米軍基地が由来とされる有機フッ素化合物(PFAS)の汚染問題、赤字決算が続く市国保財政など、課題は山積している。難局の打開に向けて、力強いリーダーシップが求められる。
 (新垣若菜)