【本部】任期満了に伴う本部町長選挙の投開票の結果、現職の平良武康さん(72)が再選を果たした。町長選には新人の真部卓也さん(41)も立候補し、2006年以来、16年ぶりの選挙戦となった。両陣営とも新型コロナ禍で落ち込んだ観光産業の振興やインフラ整備の拡充、子育て・福祉施策の充実、人口減少対策など、町が直面する課題に論戦を繰り広げた。町民からは「やっぱり選挙があった方がいいね」などと歓迎の声が上がった。
「大勝利だ!」。平良さんの当選が確実になった11日午後10時30分ごろ、支持者であふれかえった町渡久地の選挙事務所では大歓声が上がった。前町長の高良文雄さんの後継者として無投票当選した前回とは状況が一変し、今回は政党・団体の支援がない中での選挙戦だった。
これまで平良さんを支えてきた与党町議の一部も真部さん支持に回った。平良さんは「みんなを結束させて戦い抜いた。本部町の新しい未来に向かって、まちづくりの原動力にしよう」と宣言すると、支援者から拍手が湧き起こった。
一方、敗れた真部さんは「16年ぶりの選挙だったが、応援してくれた人たちに感謝したい。今後も本部町発展のために自分なりに力を尽くしていきたい」と前向きに話した。
子育て中の女性(35)は平良さんに一票を投じた。「学校給食費の無償化の実現など子育て支援に力を入れてくれた。継続してほしい」と望んだ。16年ぶりの町長選。女性にとっては有権者として「初の町長選」だったという。平良さんの支持者からは「選挙はやった方がいいが争点が見えづらかった」などといった声も上がった。平良さんを応援した女性(70)は「本部は親戚、知人関係が近い。それぞれが別々の候補を応援するのは少し心苦しさがあった」と複雑な心境を明かした。
真部さんは平良さんとは対照的に自民党の推薦を受け、県知事選とセット戦術を展開した。国会議員らも応援に入った。自営業の男性(66)は「明るく若い力に期待したい」と話し、真部さんに一票を投じたが、あと一歩及ばなかった。
(長嶺晃太朗)