失策なく歴代最高得票の圧勝劇…松川陣営 市議会で野党は倍増、課題も〈宜野湾市長選・市政継続〉下


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和やかな雰囲気で各社の開票速報を見守る松川正則氏(中央)ら=11日、宜野湾市大謝名の選挙事務所

 宜野湾市長選の開票作業が始まって間もない11日午後9時15分すぎ。市大謝名の選挙事務所にはすでに松川正則氏の姿があった。陣営は和やかな雰囲気そのもので、スマホでニュースサイトを眺めていた関係者の1人がぽつりとつぶやいた。「あ、当確が出てる」。それを聞いた周囲もさほど驚いた様子もなく、静かに喜びが広がっていった。選挙戦3カ月前の激励会で、マイクを握った関係者が宣言していた「横綱相撲を取ろうじゃないか」。その言葉通りの圧勝劇だった。

 政府との緊密なパイプによる予算確保、そこから展開される多種多様な事業。「市長は、国との信頼関係も厚くて失策もない。相手が勝る理由は何一つないんだから」(陣営関係者)。選挙期間中も関係者に大きな焦りや不安の影は見えなかった。

 前市長の佐喜真淳氏から受け継いだ安定的な市政運営と実績に加え、陣営が勝利を強く確信していた背景には参院選で現職の伊波洋一氏に約3千票差まで詰めた古謝玄太氏の善戦もある。普天間飛行場の辺野古移設容認を打ち出しての惜敗は、同じ立場の松川氏に取って「逆に追い風そのもの」との見方もあった。

 知事選、市長選、市議選と史上初のトリプル選挙となった宜野湾市。松川陣営は、知事候補の佐喜真氏や与党市議候補19人との結束を誓い臨んだ。ただ、陣営スタッフは分散され、演説も3分割になった。「どこまでやらんといけんのか」(松川陣営関係者)との不満も漏れ聞こえたが、大きな足かせとはならなかった。

 最終盤の引き締めの効果もあり、選挙は2016年の佐喜真氏の2万7668票を超え、歴代最高得票となる2万9664票で再選した。市政奪還を狙う革新勢に勢いはなく、選挙戦は現職勝利の“無風”で終わった。

 一方、佐喜真氏は知事選に破れ、与党市議候補は3人が落選し改選前から2議席減らした。与党優勢の構図は変わらないが野党は4議席から8議席へと倍増した。陣営関係者からは「完全な保守地盤が築けているわけではない」との声も漏れる。保守市政の継続に向け課題は残る。
 (新垣若菜)


 11日投開票の宜野湾市長選の舞台裏や市政への影響を探った。