スポーツが教えてくれたこと 石原端子(沖縄大准教授)<未来へいっぽにほ>


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石原 端子(沖縄大学准教授)

 最終回は、自身のスポーツ体験を振り返ってみたい。中学から大学までは、陸上競技に専心した。大学卒業後はプロゴルファーを目指し、6年後にプロテストに合格した。ステップアップツアーとレギュラーツアーで勝利したが、腰椎間板ヘルニア発症をきっかけにトーナメントから離れた。その後、スポーツ心理学を学び、現在は大学教員であり、プロゴルファーでもある。

 陸上競技を通して「やればできる」ということを学んだ。中高生時代は「日本一になる」という目標を掲げ、自身の体と向き合った。食事、睡眠、トレーニングをどのように組み合わせるとパフォーマンスにつながるか、自分なりの法則を考えるのがとても楽しかった。他校の選手やコーチとの交流も多く、みんなで強くなろうという雰囲気の中で練習するのが好きだった。コーチが整えてくださった環境のおかげで「できた!」を積み重ねることができた。

 遅いスタートだったにも関わらず、ツアー優勝を経験できた。その一方で「努力してもできないことはある」ということも学んだ。特定のコーチをつけないスタイルだったので、孤独との戦いでもあった。

 プロ生活を支えたのは、部活動を通して培った「やればできる」という自己肯定感、自分を信じる力だったと思う。「こんな仕事してたら私たち早死にするよね」と冗談を言いながら、尊敬するプロ仲間にいつも救われた。両親には「(プロ)スポーツでは飯はくえない」と常に反対された。まっとうな大人がそばにいてくれたことで、引き際を考えることができた。

 スポーツは、身体と他者に真摯(しんし)に向き合うことで、未知の可能性を引き出してくれた。たかがスポーツ、されどスポーツ、なのだ。