空手各流派の開祖が演武、「武徳殿」開殿当時伝える 1939年の式典資料、札幌市の男性が沖縄県に寄贈


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
空手の諸流派の開祖の名前も記された武徳殿の記念演武のプログラム=12日、県庁

 札幌市在住の佐藤茂さん(70)が12日に沖縄県庁を訪れて、現在の県議会棟の敷地に1939年に建設され武道の演武場などとして使用された「武徳殿」の資料を県の空手振興課に託した。県の学芸員が資料の価値を確認する予定という。

 武徳殿は武道大会や指導の中心地だった。沖縄戦の戦火を免れ、59年から県警の武道場になった。85年の県新庁舎建築に伴い、89年に解体された。

1939年に建設され、武道大会や指導の中心地だった戦前の武徳殿(那覇市歴史博物館提供)

 資料は武徳殿の開殿式に伴って行われた、空手の記念演武のプログラムなど計5点。1939年6月18日の琉球新報の記事によると、開殿式は6月18~19日に行われた。佐藤さんは記念演武の資料を自身の著書で紹介した。それを読んだ県空手振興課の職員が、佐藤さんに原本を県に寄贈してほしいと依頼した。

 空手の記念演武は小林流の開祖・知花朝信氏や松林流開祖・長嶺将真氏など、流派の開祖が名を連ねる。空手振興課によると、流派の開祖の自叙伝やその弟子が書いた著書で、開祖が演武を行ったとの記述があるという。記念演武の資料は、その裏付けになる可能性がある。

 佐藤さんは30年近く、趣味で空手に関する本や資料を収集している。2015年に東京の古書店から届いた目録集の中に同資料を発見した。「沖縄空手の歴史資料として役立つといい」と話した。

(狩俣悠喜)