世界の異文化「面白い」 栄町市場で交流イベント定期開催


この記事を書いた人 Avatar photo 金城 潤
イベントに参加した市民にスリランカ料理を紹介する登壇者ら=3月、那覇市の栄町市場(提供)

 沖縄県民の異文化交流を促そうと、那覇市の栄町市場で外国の文化を体感できるイベントが定期的に開かれ、注目を集めている。コロナ禍で外国との往来が減る中、企画したメンバーは「海外に行ったような非日常の体験をしてほしい」と語る。異文化への無理解による差別的言動(ヘイトスピーチ)が社会問題となる中「文化の違いを面白いと感じ、受け入れるきっかけに」と期待を込めた。

 イベントはこれまでに4回実施。1月は東アフリカのエチオピア、3月はインド洋の島国スリランカ、6月は東南アジアのタイをテーマにした。

 エチオピアはコーヒー発祥の地とされることから、同国の伝統的な習慣というコーヒー・セレモニーを紹介した。

 スリランカの紹介時は、同国で広く親しまれているという甘いミルクティーの試飲や、辛みがある料理を実演。占い師が身近な存在だという文化的な側面も伝え、来場者の注目を集めた。

 それぞれの国の出身者が出演し、会場とのトークに花を咲かせる。企画に関わる島袋ひろえさんは、外国との貿易に携わってきた。「単に文化の紹介だけではなく、人と人の交流を重視している」と語る。

 エチオピアは内戦、スリランカは経済危機が報じられることも多い。島袋さんは「イベントを通じて各国の人と知り合いになった経験ができる。その後にニュースに触れることで身近な話として関心を持つきっかけになるといい」と効果を期待する。

 那覇市の栄町市場は入り組んだ路地に商店や飲食店が軒を連ね、昔ながらの面影を残す。

 長年親しまれる商店がある一方、県外、海外の人らによるカフェや商店の出店もあり、多様な人を引き寄せる。

 今年7月、同市場内にスリランカ雑貨屋「チャナピー」が開店した。同社の堀ひかる代表は「栄町市場にはいろんな人を受け入れ、支える温かさがある」と魅力を語った。

 イベントの後には、栄町市場を回るツアーも行い、情緒あふれる市場の発信にもつながっている。栄町市場商店街振興組合の山田紗衣事務局長はこの町を「違いを受け入れる場所」だと話す。イベントで「いつもは来ない人も足を運んでくれる。近所の子どもたちにも来てもらい、昼の栄町市場を盛り上げたい」と語った。 (知念征尚)