沖縄のホテル、シティーと特化型の単価は最低 リゾートホテルの単価は維持 公庫調査


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 沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は21日、2021年度の県内主要ホテルの稼働状況を発表した。新型コロナウイルス禍で旅行など移動の自粛が続いたものの入域観光客数は20年度比で増えており、シティー、リゾート、宿泊特化型と全タイプの客室稼働率が20年度を上回った。客室単価ではリゾートがほぼ横ばいだったが、シティーと宿泊特化型は前年度を下回り、共に03年の調査開始以来過去最低の水準となり、明暗が分かれた。

稼働率は前年度超え

 シティーと宿泊特化型の客室単価について、公庫は報告書で「旅行需要の落ち込みが長期化する中で、都市部のホテルでは客室単価を抑えつつ、稼働率回復に努めている状況がうかがえる」と分析している。

 ホテルタイプ別に客室稼働率を見ると、シティーが前年度比5・1ポイント増の27・7%、リゾートが同2・4ポイント増の27・6%、宿泊特化型は同5・2ポイント増の35・3%だった。コロナ感染拡大前の19年度との比較では、3~4割の水準となっている。

 客室単価はシティーが前年度比17・8%減の9337円、リゾートは同0・1%増の2万1019円、宿泊特化型は同11・5%減の5903円だった。

 リゾートの価格維持の背景には、密を避け自然を楽しむといった旅行需要の変化があるとみられる。恩納村周辺や宮古・八重山は、19年度とほぼ同じ水準にまで回復している。

 1室当たりの平均売上高(レブパー)は、シティが前年度比0・8%増の2587円、宿泊特化型が同3・9%増の2083円だった。レブパーは客室稼働率に客室単価を乗じて算出することから、単価を低く設定することで稼働率を上げてレブパーの水準を維持しているとみられる。リゾートは同9・7%増の5805円だった。

 公庫の担当者は「リゾートの客は戻りつつある。シティーはビジネス目的の客を対象にしているが、出張などがコロナ前の水準に戻っていない。宿泊特化型はインバウンド(訪日外国人客)が利用している印象があり、特にアジアからの客が戻れば稼働率に(良い)影響が出てくるのではないか」と話した。

 調査はシティー9カ所、リゾート31カ所、宿泊特化25カ所の計65カ所のホテルを対象に実施した。(小波津智也)