「わったー島、戦場にさせない」有事前提の避難シェルター、政府に不信 抗議の市民ら「戦争にさせないことが大事」


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「沖縄を返せ」を歌い、避難シェルター設置反対の声を上げる集会参加者ら=21日午後6時47分、那覇市泉崎(又吉康秀撮影)

 「今、声を上げなければ子や孫が戦争の犠牲になる」。21日に「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」が那覇市の県庁前広場で開催した緊急集会では、南西諸島などでの有事を前提にした政府の避難シェルター整備に強い危機感を示す発言が相次いだ。県に対し沖縄を再び戦場にしないよう国際世論に訴える行動を求める声も上がった。

 同会の山城博治共同代表は、米上院外交委員会が14日に台湾への軍事支援を強化する法案を可決したことに触れ「戦争の準備が始まっている。恐ろしい状況だ。ウチナーヤワッターシマヤンドー(沖縄は私たちの島だ)、再び戦場になっていいはずがない」と怒りをあらわにした。

 沖縄戦戦没者の遺骨収集を続ける具志堅隆松共同代表は「戦争になればシェルターが必要だという声があるが、順序が違う。まず戦争にさせないことが大事だ」と強調。県庁に向け「デニー知事、聞こえますか? 県は戦争をさせないことに全力を注いでください。子や孫が戦争の犠牲者になるような危機に私たちは直面している。県民の命を守るため国際世論に訴えてほしい」と呼び掛けた。

 女性史研究家の宮城晴美共同代表は「政府が決めたことでも私たちが声を上げれば止められる」と街頭に向けて訴えた。南城市の瑞慶覧長風議員は「復帰50年の節目に沖縄が戦場になろうとしている状況を止めないといけない」と述べた。石垣市住民投票裁判原告弁護団の安里長従さんや鹿児島大学名誉教授の木村朗さんらもあいさつした。

 昼の集会に参加した吉永正子さん=北谷町=は「政府のやり方にワジワジーしてきた。沖縄がまた戦場になり子どもたちに悲しい思いをさせたくないという一心だ」と思いを語った。夕方の集会では、横断幕を掲げてシェルターの計画に反対を訴え、「沖縄を返せ」を歌うなどした。
 (赤嶺玲子)