エネルギー自立化提言 OIST 気候変動討論会


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日本とフランスの再生可能エネルギーをめぐる現状や取り組み、研究について意見交換するパネリストら=22日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学

 在日フランス大使館とアンスティチュ・フランセ日本は22日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)で「気候変動と諸島 エネルギー自給に向けて」と題した討論会を開いた。島しょ地域における再生可能エネルギーの普及活動や研究などに取り組む日仏の専門家らが登壇した。環境循環型社会構築の実現に向けて、発電の効率化によるCO2削減や蓄電池を通じたエネルギーの自立化などが必要との提言が相次いだ。

 登壇者は仏外務省の再生可能エネルギー統括責任者でアクオ・エネルギー社代表のジャン・バランドラ氏、仏環境・エネルギー管理庁にいたフィリップ・ブタン氏、OIST教授の新竹積氏と北野宏明氏、沖縄電力離島事業部長の仲本文範氏の5氏。司会は琉球新報社論説副委員長の普久原均氏が務めた。
 島しょ地域のエネルギーの自給自足について、ブタン氏とバランドラ氏は、インド洋のフランス領レユニオン島の事例について紹介した。平地が少ない同島では、農業施設に太陽光パネルを設置するなど農業施設と発電設備の融合化が進んでいることを踏まえ、ブタン氏は「エネルギー消費をできるだけ下げるとともに長期的計画を立て、再生可能エネルギーを開発していく必要がある」と述べた。バランドラ氏は「再生可能エネルギーは加速度的に取り入れられている。昔と比べお金も掛からなくなった」と話した。
 独自の波力発電機を開発した新竹氏は、日本に比べ欧米は再生可能エネルギー分野での研究が積極的と指摘。また、海に囲まれた沖縄において、「海流や海の温度差を用いた海洋エネルギーの選択がベストだ」と強調した。北野氏は、行政による研究開発への支援は必要とする一方で「早い段階で(産業として)自立する必要がある」と強調。競争原理の導入で再生可能エネルギーの比率向上を進めるハワイなどを例に挙げ「既得権益などをどう調整するかが問われる」と日本ならではの政策を確立させることを提言した。
 仲本氏は県内離島への再生可能エネルギーの導入について「どれだけ輸送コストを下げられるかが経営上の重大な課題だ」と述べた上で「電力会社として、電気を安定期に供給する義務がある。エネルギーの地産地消の面から安定的なシステムがあれば導入を進めたい」と述べた。
 今回の討論会はことし11月末にフランスで、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)が開催されることを受け、開催した。