不足していた沖縄のレンタカー、車両台数が回復 コロナ前の8割まで増車 次の課題は人手不足


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
返却された車の清掃に追われる那覇市内のレンタカー会社のスタッフ。午前中の貸し出し時と夕方の返却時は混雑する=12日、那覇市

 長引く新型コロナウイルス禍で観光需要が急減し、県内のレンタカー各社が保有台数を減らしたことから、レンタカーの車両数不足が問題となっていた。最近は県内各社が増車を図ったことや、需要が回復していることから、県内のレンタカー車両数は緩やかに回復しつつある。今後は人手不足が大きな課題となりそうだ。

 個人旅行が中心となった近年の沖縄観光では、レンタカーが観光客の主な足となっていた。しかしコロナ禍で断続的に発令される行動制限措置により需要の維持が見込めず、県内のレンタカー事業者は車両の維持費を鑑みて、車両数を減らすことを余儀なくされた。

 県レンタカー協会によると、協会加盟社のレンタカー保有台数は今年4月時点で1万6600台と、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の約6割の水準に落ち込んだ。行動制限が緩和されたことで旅行需要が拡大し、各社が保有台数を増やした結果、8月時点では2万1500台と、コロナ前の約8割まで回復した。

 那覇市のレンタカー事業者は、これまで900台だった車両を7月以降に約1600台に増車した。GW頃からレンタカー不足が顕著になり、6月時点で8、9月の予約の問い合わせが殺到したため、月に300件程度を断らざるを得なかったという。現在、特に平日は車両の空きが出ていることから、10月末~11月にかけて300台ほど減らす予定だ。

 今後はレンタル価格をコロナ前の1・5倍ほどにする。単価を上げたことで従業員の時給を上げられるようになり、時給1200円ほどで募集している。

 豊見城市内のレンタカー会社はコロナ前から700台を維持している。減車予定はないという。担当者は「半導体の納期が読めないので、増車しようとしてもすぐ反映されるかがわからない」と苦悩を漏らした。

 価格面でも変化が生じている。県レンタカー協会の與古田思好専務理事によると、コロナ禍前の沖縄では長く安売り競争が続き、全国の相場では約3万円ほどしていた3日間のプランでも、県内では数千円で貸し出すところもあった。今年の夏はレンタカー不足による価格高騰が話題となったが、最近は台数に余裕が出てきたことに伴い、価格も全国水準並みに安定してきているという。

 與古田氏は「これまで県内のレンタカーを利用していた人からすると価格が上がってしまったように感じるかもしれないが、むしろこれがノーマル料金だ」と説明した。 (與那覇智早)