軽石の不思議を科学絵本に 「パミスのだいぼうけん」中城村の丸谷さん出版 「地球の生態系の営み学べる」教材化も


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表紙の笑顔がかわいい科学絵本「パミスのだいぼうけん」を出版、教材化に期待を込める丸谷由代表理事=9日、中城村の自然教室事務所

 【中城】軽石の冒険の旅―。大量の軽石が県内の海岸に漂着したのが確認されてから10月で約1年となる。中城村の一般社団法人「ネコのわくわく自然教室」の丸谷由(ゆう)代表理事(42)が、科学絵本「パミスのだいぼうけん」(石田製本発行)を出版した。邪魔物扱いされた軽石を「不思議発見!」の観点から教材化にも取り組み、全国的に注目されている。

 昨年8月、南硫黄島北東の「福徳岡ノ場」で戦後最大級の規模の海底火山の噴火が発生。その軽石が県内の各諸島、ビーチ、漁港などに大量に漂着し、特に漁業に甚大な被害を与えた。丸谷代表は被害対策の必要性に留意しつつ「軽石は地球の生態系の営みを学べる」視点に着目した。

 絵本は38ページ、ハードカバーのフルカラーでA4判(2530円)とA5判(1870円)の2種類。

 絵本のサブタイトルは「うみをたびするかるいしのはなし」。パミスは英語で軽石の意味。自筆の楽しくユーモラスなイラストが満載で、軽石が海底火山から生まれて海のさまざまな魚など生き物たちと出会いつつ、冒険する。「軽石のふしぎ」の解説も添付されている。

 丸谷代表は「小さな子どもにも分かりやくい実話です。大量漂着は100年に一度の自然現象。まだ知られていない自然の営み、物事を科学的に見る大切さを教えてくれた」と絵本に込めた熱い思いを語る。

 執筆の傍ら、自然が学べる教材として全国20道府県、50余の小中高、教育施設に軽石を届けるプロジェクトを開始した。反響も大きく「沖縄発の軽石が学びの機会となり、新たな活躍の場を広げている」と手応えを実感している。県内各地の学校などで「軽石講座」も精力的に取り組んでいる。

 絵本は14日発売で通販大手のアマゾンからオンラインで購入できる。問い合わせは同法人、電話098(895)6404。
 (岸本健通信員)