「木灰そば」の味再現へ 試作重ねた「かん水」使用 沖縄生麺協など3者が17、18日販売 泉崎で「沖縄そばの日フェスタ」


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「特許かんすい」を使った麺を試作し、味を確認する関係者=9月、那覇市(沖縄生麺協同組合提供)

 伝統的な沖縄そば「木灰そば」の麺の味を再現しようと、沖縄生麺協同組合、県工業技術センター、沖縄製粉が10年以上、研究と開発に取り組んでいる。3者は共同で特許を持つ沖縄そば用の「かん水」を用いて麺の試作を重ねており、17、18日に開かれる「沖縄そばの日フェスタ」限定で、特許かん水を使った沖縄そばを試験的に販売する。沖縄生麺協同組合の稲嶺盛健理事長は「木灰麺に非常に近い、木の香りがするおいしい麺ができた」と自信を見せる。

 沖縄そばは、小麦粉に強アルカリ性のかん水と塩を加えて作る。戦前は木灰から抽出した木灰(もくあく)汁を使っていたが、戦後はガスの普及で灰の収集が困難になり、現在は中華麺用のかん水をアルカリ剤として使うのが一般的となっている。

 3者による研究は2007年からスタート。ガジュマル、アカギ、イタジイなどの木灰汁で麺を作り、成分を科学的に分析した。カリウム、硫酸イオン、鉄イオンが麺の味や色、こしに影響を与えていることを明らかにした。

 12年には研究を基に木灰そば用かん水となるアルカリ剤の配合割合などについて特許を取得した。

 特許に基づき、複数のアルカリ剤を自分で配合してかん水を作ることも可能だが、手間がかかるため、製麺所が使いやすくするにはかん水粉としての製品化が不可欠という。今年9月、アルカリ剤の配合割合の黄金比を探るため、関係者が集まり試作会を開いた。沖縄そばの日に、この試作会で導き出された配合割合で作られた麺を使用した沖縄そばを販売する。

 稲嶺理事長は「沖縄そばの文化を守り、次の世代に伝えていく役割が私たちにはある。木灰そばの味を覚えている人も少なくなっているので、かん水の製品化を急ぎたい」と力を込めた。

 沖縄そばの日フェスタは17、18日に那覇市泉崎の琉球新報社1階あじまーるで開かれる。時間は午前11時~午後4時。 (玉城江梨子)