那覇市民の蔵書約67万冊を管理する八つの市立図書館・図書室で、ランサムウエア攻撃に伴うシステム障害で貸し出しができない状態になった。これまでに経験したことがない事態で、復旧に数カ月を要する可能性も出てきており、利用者への影響は大きい。
沖縄県那覇市教育委員会によると不審なメールの開封など感染が疑われる情報はなく「侵入経路は不明」としている。利用者情報(約19万人分)や蔵書の情報など各種データは、うるま市にあるデータセンターに保存されている。このデータがバックアップも含めてランサムウエアで暗号化され、アクセスできない状態となった。
貸し出しを停止したのは那覇市立中央図書館のほか、牧志駅前ほしぞら、小禄南、首里、若狭、石嶺、繁多川の各市立図書館と市人材育成支援センターまーいまーいNahaの図書室。図書館の開館は続けており、館内での閲覧のみで運用する。
システムへの攻撃があった13日は「利用者サービスは止めない」としてシステムを使わない形での貸し出し対応もした。蔵書と利用者情報をデータで記録していく手法だが、システム復旧の見通しが立たない中で「今後の管理に支障を来す」として、貸し出し中止に踏み切った。処理はできない状態だが、現在貸し出している図書も期限内返却を呼びかけている。
ランサムウエア攻撃に伴って、サーバー上にはデータの暗号化と、「身代金」要求や特定アドレスへのアクセスを求めるテキストが作成されていた。県警は中央図書館にサイバー犯罪対策課の警察官を派遣して、被害の有無など詳細な確認をしている。市教委は14日の会見で「犯人からの要求には応じない」と強調した。
(塚崎昇平)