自らの芯 空手で鍛える ハワイ県系4世 キム・デイビッドさん


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沖縄留学中、空手の練習に励んだキム・デイビッドさん(右)。隣は大城光平さん=豊見城市の沖縄小林流空手道・古武道連盟ワールド王修会沖縄本部道場(提供)

 アメリカで飲食店を営むキム・デイビッドさん(32)は、ハワイの県系4世のウチナーンチュだ。「自分の弱点を認知でき、芯を強く持つことのできる空手は最高だ」と沖縄空手の魅力を熱く語る。カナダに生まれ、家族とともにアメリカを転々としながら幼少期を過ごしたデイビッドさんは、8歳の時に空手を習い始めた。当時は空手のルーツが沖縄だとは知らず、日本文化の一つだと思っていた。
 
 ハワイ2世の祖母との関わりが多くあったことで、沖縄への憧れが増すようになる。2015年にフィリピンで行われた第4回世界若者ウチナーンチュ大会に出場した後で、16年の第6回世界のウチナーンチュ大会にも参加した。
 
 その影響もあり、沖縄に留学してみたいと思い始めた。29歳の時に、ウチナーンチュ大会で出会った人から「那覇の日本語学校のクラスに2週間後に空きが出る」と教えてもらい、その場で留学を決めたという。
 
 沖縄留学中は、フィリピン若者ウチナーンチュ大会で出会った大城光平さんの下、沖縄小林流空手道・古武道連盟ワールド王修会で形や組手を学んだ。日本語を学びながら、公民館などで空手の演武を行い、充実した日々を過ごした。
 
 21年8月にアメリカに戻り、今はサンフランシスコで空手を続けている。今年の8月に牛骨だしバーをオープンしたデイビッドさんは「心と体を落ち着かせることのできる空手が、仕事にも生きている」と話す。「ルーツは知らなくてもみんな空手を知っている。こんなに小さな島発祥のものが世界中で知られていると思うと、沖縄の影響力は壮大だ」と力を込めた。
 (與那覇智早)

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<プロフィル>

 きむ・でいびっど ハワイ県系4世。8歳で空手を習い始める。第4回世界若者ウチナーンチュ大会、第6回世界のウチナーンチュ大会に参加。2019年から沖縄に2年間留学し、空手を学ぶ。21年8月にアメリカに戻り、牛骨だしバーを営みながら、空手にも励む。

「こんなに小さな島発祥の文化が全世界に広がっている。沖縄の力は壮大だ」牛骨だしバーを経営するキム・デイビッドさん。空手が仕事にも生きている(提供)