「琉球芸能で勇気づけたい」 左足まひの當眞さん 国民文化祭で開会宣言


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開会宣言する當眞有佳梨さん=23日午前、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター(大城直也撮影)

 美ら島おきなわ文化祭2022(第37回国民文化祭、第22回全国障がい者芸術・文化祭)の開会式が23日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンターであり、左足にまひがある當眞有佳梨さん(23)=与那原町=が開会宣言を務めた。開会宣言を担う5人のうちの1人に選ばれた當眞さんは、文化祭が掲げる四つの基本方針の一つ「かかわる(県民一人ひとりが文化芸術の担い手)」を読み上げ、高らかに沖縄文化の魅力を発信する祭典の始まりを告げた。

 當眞さんは、小学3年生のときに祖母の勧めで野村流伝統音楽協会の當間清子さんに弟子入りし、琉球古典音楽を始めた。生まれつきの脳性まひのため左半身が思うように動かず、三線を構えたり、弦を押さえたりすることが、最初はうまくいかなかった。

 それでも古典芸能への情熱と、當間さんの愛情あふれる指導の下で稽古を重ね、琉球古典芸能コンクールで最高賞を取るほどの実演家に成長することができた。

 開会式の日、会場入り口に設置されたステージで「安波節」や「芭蕉布」などを堂々と歌い、来場者を出迎えた。

 現在、県立芸術大学の音楽学部で琉球古典音楽を学ぶ當眞さんは「開会式では、貴重な経験をさせてもらい感謝の気持ちでいっぱいだ。自分は古典音楽と出合い人生が変わった。同じ境遇にいる人たちを、琉球芸能を通じて勇気づけたい」と力強く話した。
 (藤村謙吾)