ウチナーグチ今こそ生かす ハワイ県系4世・ブランドン・イングさん<世界のウチナーンチュ大会>


この記事を書いた人 Avatar photo 瀬底 正志郎
ギターを持って歌うブランドン・イングさん(本人提供)

 米ハワイ州在住の県系4世、ブランドン・イングさん(39)は、音楽を通してウチナーグチを継承する世界のウチナーンチュだ。優しい声と心地良いリズムに乗せて歌われるウチナーグチが新鮮に響く。イングさんは「ウチナーグチは古い言葉ではなく、現代でもまだ生きているということを音楽で伝えたい」と話す。

 「Gachimayaa」(ガチマヤー)や「Taa yaga?」(ターヤガ)などこれまでウチナーグチで作った曲は12曲。ギターなどの楽器で現代の人もなじみやすい曲作りを心がけ、YouTubeで発信している。

 幼少期によく祖父母から「私たちはウチナーンチュだよ」と言われた。当時は意味が分からなかったが、ハワイ大学で三線を習い始めて沖縄の歴史や文化を知り、自分のルーツがある沖縄に行きたい気持ちが強くなった。

 26歳の頃、県費留学生として県立芸術大学に在学し、その後もALT(外国語指導助手)として沖縄に滞在した。授業の中で、沖縄の子どもたちがウチナーグチを知らないことを知って驚いた。在沖期間中にウチナーグチ教室に通い、本を買って勉強しながら、曲作りを始めた。

「みんなでウチナーグチで会話できたらちびらーさんや」 ブランドン・イングさんのYouTube動画「Gachimayaa」のワンシーン

 かつては独立国で、独自の言葉や文化が奪われた歴史を持つハワイと沖縄。イングさんによると、ハワイでは学校教育で独自の言語や文化などを教えるというが、沖縄では授業で扱う時間は少ない。「第2の故郷」である沖縄の言葉を残すことで、沖縄のアイデンティティーが継承されることを願う。

 

 「いつか世界のウチナーンチュ大会で各国から集まった時に、共通語がウチナーグチになったら、ちびらーさんや」と力を込めた。
 (中村優希)

 

<プロフィル>

 ぶらんどん・いんぐ 1983年4月生まれ。米国ハワイ州出身でオアフ島在住。小学校教員をしながら、音楽活動を続けている。2009~14年まで沖縄で暮らした。曽祖父母が北中城村渡口と美里村比屋根(当時)出身の県系1世。