【記者解説】名護市議会で賛否が割れる辺野古移設 住民の安全守る行動が焦点に


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物資をつり下げて飛行する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=2018年10月、名護市辺野古

 普天間飛行場の代替施設建設が進む名護市。米軍キャンプ・シュワブには6カ所にヘリパッドが点在し、今でも周辺集落上空をオスプレイなどの米軍機が飛ぶが、代替施設が完成すればオスプレイが配備される計画だ。今回のアンケートでは、辺野古移設やオスプレイ配備に反対する声が半数を占めたが、公明を除く与党市議と、渡具知武豊氏は賛否を明確にしなかった。

 渡具知氏は係争中の国と県の推移を「見守る」と従来の主張を繰り返し、オスプレイ配備については明言しなかった。与党会派「礎之会」も同様の回答をした。一方、政府が従来、「移設後は騒音による影響も大幅に軽減され、住宅防音工事も普天間飛行場周辺での1万数千戸からゼロになる」などとの見解を示していることを巡っては、市長が明言を避けたのに対し、礎之会は野党と同様に「賛同できない」と回答した。

 与党側は1月の市長選、9月の市議選で辺野古移設問題の争点化を避けた。アンケートでは回答に消極的な市議もおり、礎之会は統一での回答となった。野党側は「反対」の姿勢を明確に打ち出す回答が多くみられたが、いずれも市議選で移設問題を前面に打ち出す候補は少なく、中には「辺野古は『最大の争点』とは言いがたい」との声も聞かれた。

 普天間配備のオスプレイは10年間で、墜落や緊急着陸など少なくとも17件の事故を起こしている。市安部では墜落事故が発生した。アンケートでは与野党ともに、集落周辺の既存ヘリパッドの撤去や移転を求めるなど、地元住民の負担軽減へ一致する部分も垣間見えた。政治的な立場を乗り越え、今後、地域住民の生活、安全を守るために協力して行動できるかが焦点となる。
 (長嶺晃太朗)


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