【沖縄の建設業ランキング】県内の完工高が減少、5606億円 コロナ禍で建築費の高騰が影響


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 東京商工リサーチ沖縄支店は28日、県内建設業の2021年度完成工事高ランキング(年間10億円以上、21年4月~22年3月期)を発表した。ランク入りした企業は前年度比7・7%減の216社で、完工高の総額は同3・3%減の5606億7200万円だった。

 コロナ禍で景気が停滞し、地価や建築費の高止まりによって投資が抑制され、企業数の減少は2年ぶり、完工高総額の減少は10年ぶりとなった。一方で、公共工事が堅調に推移し防衛関連やホテルなどの大型工事が下支えして、総額としては過去3番目の水準を維持している。

 東京商工リサーチ沖縄支店の担当者は、投資の冷え込みについて「金融機関の融資審査が厳格化され、資材の高止まりが続くことで、採算性の観点からプロジェクトに着手するのが難しくなっている」と話した。今後の見通しについては、感染対策と経済活動の両立が進んでいることから、「経済の回復が進めば完工高も好転する可能性がある」と推測した。

 上位10社の完工高合計額は前年度比4・7%増の1625億4500万円だった。全体に占める割合は29・0%となり、前年度を2・2ポイント上回った。

 トップは国場組(那覇市)で、集計を開始した1985年から37年連続で首位を堅持した。完工高は同8・0%増の262億7300万円で、今年開業した「琉球ホテル&リゾート名城ビーチ」の建築、米軍キャンプ・シュワブ沖の埋め立て工事などを手掛けて2年ぶりに増収に転じた。

 2位は15年連続で沖電工(那覇市)だった。海底ケーブル敷設や沖縄電力関連の建築工事などがあり、同12・8%増の239億5千万円となった。3位は屋部土建(名護市)で公共、民間ともに大型工事を展開し、同8・9%増の209億3100万円と初の200億円超えを果たし、前回4位から順位を上げた。

 10位の大興建設(嘉手納町)は同43・3%増の72億4800万円で、ホテル建設に絡む大型工事が相次ぎ、初のベスト10入りとなった。

 ランク入りした企業216社のうち、増収は118社、減収は98社だった。完工高10億円を割り込み、ランク外となったのは41社で、前年度から5社増えた。

 (小波津智也)