「爆音をまき散らす機体の種類が変わるだけ」F15戦闘機の更新に基地周辺住民は…


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機=2022年6月9日午後3時4分、北谷町上空

 【中部】「爆音をまき散らす機体の種類が代わるだけ」―。米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が機体の老朽化で退役し新たな機体に更新される間、F22が暫定配備されるという本紙報道を受け、基地の周辺住民からは基地強化を危惧する声や、重圧は変わらないと冷めた反応もあった。住民からは、日米両政府の思惑に振り回される現状を嘆く声が上がる。

 第4次嘉手納爆音訴訟原告団の新川秀清団長は「退役だけならいいが、新しい機種が来るのは基地の強化ではないのか」と危惧した。戦闘機の更新に伴い、嘉手納基地で一時的に戦闘機の数が増える可能性があることについて「これまで平穏を要求してきたのに、頭に血が上る思いだ。米軍の都合だけで配備しており、沖縄への負担を増加させている」と憤怒した。また、嘉手納基地に防錆(ぼうせい)整備格納庫が建設される計画に触れ「防錆施設の計画とも共通している。これまでたくさんの被害をもたらした上に、また新たな被害を生むのか」と憤った。

 同基地は対中有事の「抑止力」とされる一方で、先制攻撃の対象になる可能性も指摘されている。北谷町議会基地対策特別委員長で町砂辺に住む照屋正治さんは「攻撃対象であるという危険な状況に変わりはない」と強調した。

 同基地から約200メートルの場所に住む30代女性は「ただ機体が代わるだけ。そもそも老朽化した機体が頭の上を飛んでたこと自体がおかしい」と不快な様子を見せる。その上で「米軍機や日本政府が私たちを何から守ってくれているのか実感もわかない」と嘆いた。

(新垣若菜、古川峻)