空手との出合い「沖縄と恋に落ちた」…ブラジルの「沖縄オタク」が念願の来沖 シルヴァさん、来月までJICAで研修


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上地完文氏の銅像前でお気に入りのポーズを決めるレアンドロ・シルヴァさん=19日、本部町(提供)

 【浦添】世界のウチナーンチュ大会開催を前に、世界中から沖縄とゆかりのある人が来沖している。ブラジルのレアンドロ・シルヴァさん(33)は11月上旬までJICA沖縄で研修を受けるため、初めて沖縄を訪れた。沖縄の血は流れていないが「沖縄オタク」と自称するほどの大ファンだ。

 シルヴァさんはブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州の出身で、スペイン・ポルトガル系ユダヤ人と南米原住民の家系に生まれた。現地で大学院に通いながら、遠方のカンポグランデ県人会と交流している。

 2014年、上地流空手に出合い「沖縄と恋に落ちた」。それまで実戦空手を習っていたが、技をいかに決めるか技術面を重視しているようで、ふに落ちなかった。上地流空手を通して型の意味や空手の背景にある哲学を学び、沖縄への憧れが強まった。

 JICA沖縄では沖縄の文化や歴史を学び、帰国後に県人会を担う人材となるため研修中だ。初めての沖縄は「東洋と南米の中間でちょうどいい」と話すシルヴァさん。南米だと約束の時間より1時間遅れることもあるが、ウチナータイムは「15分程度の遅延で緩さ加減が絶妙」と笑う。

 異国の良さを独自の文化と融合させ、新しい価値を生み出す沖縄のチャンプルー文化にも感動した。母国にも似たような概念「アントロポファジア(antropofagia)」がある。

 以前ネット上で宮古島の人とチャットを交わしたことがあり、宮古言葉(ミャークフツ)とパーントゥにも強い関心を寄せる。将来は「宮古島に上地流の道場を開けたら」と冗談も交える。今年はかなわなかったが「来年こそは日本政府の奨学金を獲得し、2024年に県内大学に留学したい」と夢を語った。
 (比嘉璃子)