【浦添】世界のウチナーンチュ大会開催を前に、世界中から沖縄とゆかりのある人が来沖している。ブラジルのレアンドロ・シルヴァさん(33)は11月上旬までJICA沖縄で研修を受けるため、初めて沖縄を訪れた。沖縄の血は流れていないが「沖縄オタク」と自称するほどの大ファンだ。
シルヴァさんはブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州の出身で、スペイン・ポルトガル系ユダヤ人と南米原住民の家系に生まれた。現地で大学院に通いながら、遠方のカンポグランデ県人会と交流している。
2014年、上地流空手に出合い「沖縄と恋に落ちた」。それまで実戦空手を習っていたが、技をいかに決めるか技術面を重視しているようで、ふに落ちなかった。上地流空手を通して型の意味や空手の背景にある哲学を学び、沖縄への憧れが強まった。
JICA沖縄では沖縄の文化や歴史を学び、帰国後に県人会を担う人材となるため研修中だ。初めての沖縄は「東洋と南米の中間でちょうどいい」と話すシルヴァさん。南米だと約束の時間より1時間遅れることもあるが、ウチナータイムは「15分程度の遅延で緩さ加減が絶妙」と笑う。
異国の良さを独自の文化と融合させ、新しい価値を生み出す沖縄のチャンプルー文化にも感動した。母国にも似たような概念「アントロポファジア(antropofagia)」がある。
以前ネット上で宮古島の人とチャットを交わしたことがあり、宮古言葉(ミャークフツ)とパーントゥにも強い関心を寄せる。将来は「宮古島に上地流の道場を開けたら」と冗談も交える。今年はかなわなかったが「来年こそは日本政府の奨学金を獲得し、2024年に県内大学に留学したい」と夢を語った。
(比嘉璃子)