雨のウチナーンチュ大会開会式 「言葉響いた」パブリックビューイングで見守り、会場変更で参加できない人も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
大型ビジョンに映し出される式典を見ながら拍手を送る県系人たち=31日午後5時38分、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇(ジャン松元撮影)

 悪天候による会場変更と規模縮小がホームページで告知されたのは、世界のウチナーンチュ大会開会式当日の31日正午すぎ。開演が数時間後に迫る中、県人会や関係者は対応に追われ、参加できない県系人らは残念がった。会場外のパブリックビューイングには、雨の中でも各国のウチナーンチュと開会式を味わおうと県人が集まり、各国の国旗がはためいた。開会式に参加せず沖縄料理を楽しんだり、親族との再会の時間に充てたりするなど、思い思いに過ごす人もいた。

 県の発表で県人会や関係者は、急きょ連絡に追われた。北米沖縄県人会エグゼクティブ・ディレクターの山内優子さん(51)は「直前に縮小すると分かったので大慌てだった。本当に残念だ」と肩を落とした。

 パブリックビューイング会場となった沖縄セルラースタジアム那覇。集まり始めた人々の中には、既に旧友や知人との再会を喜ぶ姿があった。グアムから参加した美奈子・レイカさん(79)は、新型コロナウイルスの流行で約3年ぶりに沖縄を訪れ「涙が出そう」と目を潤ませた。

 会場に設置された二つの大型スクリーンを通し、開会式を見守った県人たちは登壇者らに拍手を送った。首里城再建への決意や、各国語を多用したあいさつが共感を呼んだ。石垣市出身で、米ジョージア州から参加した県系1世の陳喜久江さん(66)は「『チムグクル』『ユイマール』など、一人一人の言葉が響いた」と感動していた。

 開会式には参加できなかったものの、気持ちを切り替えて楽しむ人もいた。北米沖縄県人会理事の新垣ブライアンさん(58)は「開会式はウチナーンチュのチムグクルを感じることができる場。期待していたので悲しいが、今夜はゆっくり沖縄料理を楽しもうと思う」と切り替えた。

 午後3時ごろ、平和通りには大雨から逃れて買い物を楽しむ県系人も見られた。米シカゴから訪れた県系のリンダ・エバリットさん(57)は「過去5回大会に参加してきたけど、こんなことは一度もなかった」と残念がる。ハワイの県系人・西田バーニーズさん(76)は「前回の閉会式は会場が一つになり、美しかった。あの感動をまた味わいたい」と閉会式に期待した。
 (武井悠、塚崎昇平、赤嶺玲子、比嘉璃子、中村万里子)