沖電、来春本格値上げへ 43年ぶり 燃料高、転嫁限界


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沖縄電力

 沖縄電力(浦添市、本永浩之社長)は1日、一般家庭向けを含む全ての電気料金を2023年4月に値上げする方向で具体的な検討を始めると発表した。燃料費の変動による調整とは別に、本格改定による値上げは第二次石油危機の影響を受けた1980年以来となる。ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響による燃料費高騰が続き、電力の安定供給には値上げが不可欠と判断した。

 値上げ幅については同社が今後検討を進め、必要な手続きを年内にも国に申請する段階で明らかにする。

 県外の大手電力会社でも、23年春から一般家庭向けを含む値上げ方針の表明が相次いでいる。沖電も同様の対応に踏み切る形だ。

 沖電は1日、2022年度通期の業績予想を7月の公表時点から下方修正し、経常損失は70億円拡大し470億円、純損失も108億円拡大し416億円と、赤字幅がさらに広がると発表した。

 電気料金には燃料費の高騰分を反映させる「燃料費調整(燃調)制度」があるが、県内では今年4月に価格転嫁できる上限に達した。検討されている来春の値上げは、燃調制度に基づく料金変動とは異なり、電気料金の総原価を見直す改定になる。

 現在は従量電灯で月間使用量260キロワット時の平均的なモデルで、20年度初めと比較して18・1%増の8847円となっている。超過分は沖電側が負担し、供給コストが電力料収入を上回る「逆ざや」の状態が続いている。

 本永社長は1日の記者会見で「企業努力で吸収できる範囲を大きく超える水準」「損失規模として過去に類をみない未曽有の事態」などと強調し、値上げ検討への理解を求めた。 (當山幸都)