「世界ウチナーンチュの日」どう生かす? 各地の取り組み紹介、アイデンティティー継承へ熱く議論 県人会長・民間大使会議


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 第7回世界のウチナーンチュ大会2日目の1日、各国の県人会会長やウチナー民間大使らが参加する県人会長・ウチナー民間大使会議が、那覇市の沖縄産業支援センターで開かれた。10月30日の「世界ウチナーンチュの日」に実施する各地の取り組みを紹介し、沖縄のアイデンティティー継承の課題などについて意見交換した。約100人が参加。海外ウチナーンチュらの沖縄への思いがあふれ議論は白熱した。

活発に議論を交わす県人ら=1日、那覇市の沖縄産業支援センター(又吉康秀撮影)

 「世界ウチナーンチュの日」発案者で、制定に関わった比嘉アンドレスさんと伊佐正アンドレスさんは「10月30日を公休日にしたい。時間はかかるが不可能ではないと思う」と提案した。2人の意見に共感した韓国県人会の李孝苑会長(46)は「10月30日に、海外のウチナーンチュと沖縄をオンラインでつなぐ授業をやってはどうか」と述べた。

 琉球古典音楽歴16年のカンポグランデ県人会のプロエンサ・クリスチャンさん(30)は、ポルトガル語で琉歌を伝えていることを紹介した。「文化は、時代が変わってもウチナーンチュの心をつなげる大切なものだ」と感想を述べた。

 県系4世でブラジル人の髙良のりさん(21)は、ブラジルで毎年10月30日に琉球舞踊や沖縄料理を提供するイベントを開催していることなど、沖縄のアイデンティティー継承の取り組みを紹介した。「沖縄の人たちをブラジルに招待して色んな所に連れていくのが夢だ」と語った。

 次世代へのウチナーンチュのアイデンティティー継承などが、各地で課題となっており「若い人はウチナーンチュという意識が薄い」との声も聞かれた。

 北米県人会の神谷清志エドワード会長(71)は、若い世代の興味を引くことを課題に挙げ、来年の世界ウチナーンチュの日に向けて、オンラインと対面のイベントを実施する考えだ。「若い世代と交流し、思いつかなかったアイデアを得られた」と話した。

 海外ウチナーンチュの熱量を感じた、県内在住のウチナー民間大使、比嘉恵子さん(61)は「沖縄側との温度差がもどかしい。海外の方の意欲がすごいが、本来の沖縄側になかなか伝わっていないのが課題だ」と指摘した。

(中村優希、比嘉璃子)