エクアドルで「金城国際塾」運営 沖縄の歴史と文化伝える 県系2世のアンジェロ・ペラガッティさん


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 南米エクアドルで沖縄の歴史と文化を伝える「金城国際塾」を運営するアンジェロ・ペラガッティさん(35)。イタリア人の父と日本人の母はともにオペラ歌手だ。母親は南風原町出身で少年時代の数年間を沖縄で過ごした。「金城」は母親の旧姓だ。

家族、教え子、仲間たちに囲まれるアンジェロ・ペラガッティさん(後列中央)

 イタリアの大学で日本文化を学び、欧州、南米など各地を転々とした後、エクアドルに移住した。自身のルーツである沖縄、日本の文化に強い愛着を持っており、2015年に金城国際塾を設立した。自ら講師として柔道、空手、盆栽などを指導する。

 日本語はもちろん、ウチナーグチも教える。空手は少年時代に沖縄で習った琉球空手だ。日本のことは知っていても沖縄についてはあまり知らないというエクアドルの人々に、沖縄の歴史や文化を伝えている。

 「イタリアの学校で日本語は学べるがウチナーグチに触れる機会はない。話せる先生もいなかった。空手が沖縄発祥だということを知らない人も多い」と話す。

 エクアドルには沖縄のコミュニティーがほとんどなく、関心を持つ人も少ないと感じ、アカデミーを通して沖縄文化を広めようと考えたという。「これからどんどん生徒を増やしたい」と意気込む。

 2人の子を持つ父親で、長女には南(みなみ・7歳)、長男には琉(りゅう・3歳)と沖縄にちなんだ名前をつけた。自宅でも日常的にウチナーグチを使い、子どもたちに沖縄の思い出話を聞かせている。「家族はまだ沖縄に行ったことがなく、自分自身も子ども時代の記憶しかない。亡くなった母の墓は沖縄にあるし、いつかはみんなで行きたい」と夢を語る。

 「エクアドルに県系人が少なく、指導者が探せないのが悩み。自分は経験がなく指導できないが、琉球舞踊やエイサーも取り入れたい」と話す。「沖縄からも指導者を招き、アカデミーをもっと盛り上げたい。エクアドルと沖縄の架け橋になることが目標」と目を輝かせた。

(普天間伊織)