「先生、歌い続けます」 普久原恒勇さん死去 民謡歌手ら弔問に


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弔問に多くの関係者が訪れた普久原恒勇さんの自宅=2日午後、沖縄市

 音楽家・普久原恒勇さんの逝去から一夜明けた2日、沖縄県沖縄市の自宅には普久原さんの歌を継承してきた民謡歌手ら多くの関係者らが弔問に訪れた。普久原さんの功績や、厳しさとユーモアを兼ね備えた人柄をしのび、別れを惜しんだ。

 同日午後、長年普久原さんとともに音楽活動をしてきた民謡グループ・フォーシスターズの姉妹4人は普久原さんが、作曲した「真玉(まだま)節」(とりみとり作詞)を献歌した。「先生、本当にありがとうございました」「いつまでも歌い続けますからね」と、眠る普久原さんに涙ながらに語りかけた。

 告別式は3日午後2時から3時半、うるま市兼箇段1740の1、セレモニー中頭で執り行われる。喪主は妻節子(せつこ)さん。

 民謡歌手の饒辺愛子さん(80)は、約40年前、普久原さんが作曲した「肝(ちむ)がなさ節」(とりみとり作詞)を渡された。その歌は普久原メロディーの代表曲の一つとして人々に愛されてきた。饒辺さんは「『あなたに合う曲を作ってあげたい』と言われ、しばらく音沙汰がなかったが、ある日、渡された曲が『肝がなさ節』だった。先生は本当に律義で、ずっと覚えてくださっていた」と振り返る。「うちなーんちゅの肝心(ちむぐくる)で、誰でも歌えるくらい浸透した。自分が歌えるということが幸せで、身に余る光栄だった」と目頭を押さえた。 (田中芳)