里親の喜びは「子どもの笑顔」 沖縄県里親会50年でトークセッション 浦添


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子育ての喜びを語る松川園子会長(右)と、松本哲治浦添市長=浦添市

 沖縄県里親会創立50周年を記念し、映画「育ててくれて、ありがとう。」の上映会と里親制度の意義や子育ての喜びを語り合うトークセッションがこのほど、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール小ホールで開かれた。トークセッションは里親会の松川園子会長と浦添市の松本哲治市長が登壇。松川会長は自身の里親経験を踏まえ「最初は(なれず)大人をにらんでいた子どもが、一緒に暮らす中で笑顔を見せ始め、話し言葉が増えてきた。子どもは変わり成長する」とやりがいを語った。

 上映会は、里親会50周年記念に加え児童虐待防止の一環として、里親会と浦添市が共催。映画は1組の里親家庭を通して、里親、里子、実親の心情を細やかに描いた。昼夜の2回上映され合わせて約260人が鑑賞した。

 トークセッションは夜の部上映後に開かれた。松川会長は実子に加え、里子は2人を迎えた。松本市長の「子育ては大変だったのでは」との問いに松川会長は「気軽に考え『里親になってみたい』という勢いで受け入れた」と振り返った。迎えた里子には、里親の愛情を確かめるためわざと嫌なことをする「試し行動」があったという。「安心できる環境を欲していると考え、よく抱っこをした」と話した。

 松川会長は、養子縁組里親のほか、子どもを一定期間、迎え入れる養育里親など里親の種類を説明した。松本市長は児童虐待に言及し「誰にも頼れず限界を伝えられない親がいるのではないか。大変な時期は気軽に里親制度を利用してもいい」と提起。松川会長は「人は誰でも弱い。子どもに当たってしまう人はいる。しかし、子どもにとっては一生の傷になる。(実親は)自分が元気になるまで養育里親に預けるのも一つではないか」と答えた。
 (高江洲洋子)