【沖縄】コザに集まる起業家を支援し、さらなるイノベーション(価値創造)の拠点をつくろうと、沖縄県沖縄市の一番街商店街と一体となったコミュニティー型コワーキングスペース「コザスタートアップ商店街(KSA)」(豊里健一郎代表)が、本格始動している。遊休資産となっている商店街の2階部分をオフィスとして貸し出し、県内外から企業を呼び込む。既に40社が入居しており、新たなイノベーション創出や街の活性化が期待される。
10月2日には、一番街で学生向けのイベント「Tech BASE Okinawa for Students」が開かれた。県内外で活躍するエンジニアらが参加し、学生に向け“沖縄×エンジニア”の可能性を語った。豊里氏は「沖縄にとって成長産業のIT産業を支えるエンジニアの育成は重要」と強調。イベントを振り返り「県内でも魅力的なIT企業があり、フルリモートでも首都圏と格差なく収入があり、楽しく成長できる会社があることを知ってもらえた」と語る。
かつて多くの店舗でシャッターが閉まっていた一番街。起業家支援を行うコワーキングスペース「Startup Lab Lagoon」(スタートアップラボラグーン)を中心に街が盛り上がり、県内外のIT企業のサテライトオフィスや起業家が集う場に。19年4月から22年3月の期間、241人の起業家が生まれた。
今回のKSAでは県内外の企業誘致に力を入れる方針だ。企業の中でも事業活動を行う「プロフィットセンター」と呼ばれる部門を誘致したい考え。豊里代表は「沖縄の稼ぐ力を高めるため、外資などの企業誘致の場所として構えている」と話す。
入居する40社のうち半数は県外企業。本年度で入居企業100社を目指す。またスタートアップが地域の人に分かりにくいビジネスであるとして「商店街と一体となった取り組みをすることで、地域の新しい価値として再認識してもらいたい」と期待を込める。「県外企業には沖縄の地域課題にアクセスしてほしい。たくさんの挑戦者をコザに呼び込みたい」と話した。
(石井恵理菜)